おかえ梨華ちゃん

 「ん? 梨華ちゃんが日本に帰ってきたような気がする!」と思った僕は、居ても立ってもいられず、コタツから飛び出て、コタツの周りを早足で歩き回った。「梨華ちゃんが、梨華ちゃんが……ついに帰ってきたような気がするぞ!」僕はふと立ち止まり、うつ伏せになって、冷たい床に耳をぴたりとつけた。「……梨華ちゃんの足音が聞こえるような気がする。梨華ちゃん! とうとう帰ってきたんだね! この日本に!」僕はすっくと立ち上がり、窓のところまで大股で歩いて行き、それをガラリと開け放った。冷やりとした空気が僕を包む。夜の闇に耳を突き出し、右手を添える。車の通る音や人々のざわめきの中に、梨華ちゃんの息遣いが聞こえたような気がした。「梨華ちゃん! やっぱり帰ってきたんだね! おーい! お帰りなさーい! ハワイはどうだった? 楽しかったかい。いい思い出になったかい。僕も行きたかったけど諸事情で行けなくてごめんね。こんどツアー的なものがあったら必ず行くからね。きっと疲れたでしょうから、ゆっくり休んでください。梨華ちゃん、好きだよ!」東京の空に向かって、僕は強く囁いた。