小川麻琴


 会場には花道が2本設置されていて、メインステージとサブステージをつないでいた。全体としてはロの字形になっていて、ロの内側とロの外側にそれぞれ客がいる。僕の席はロの外側で、花道から数えて4列目だった。



 ライブ中、色々な人が僕のすぐ目の前を通るわけだけど、どうしてか肝心の梨華ちゃんが通ってくれない。はるか向こうにあるもう一本の花道ばかり通っていく。僕の目の前をよく通ったのは、小川、れいな、ベリーズ工房ごっちんだった。とりわけ小川が頻繁に僕のそばにきて、満面の笑みで迫力のある体を躍らせていた。あまりに小川ばっかり寄って来るので、僕は小川に愛されているんじゃないかとすら思った。この日の小川は髪型が素敵で、髪の色も素敵で、いままでの小川の中でいちばんかわいい小川だったので、不覚にもちょっと嬉しくなってしまった。でも正直、僕は梨華ちゃん以外の女の子に愛されても困ってしまう。やっぱり僕は梨華ちゃんに愛されたい。だけど、こんなに近く、手がとどきそうなくらい近くで梨華ちゃんに愛されたら、頭がどうにかなってしまいそうで少し怖い。