梨華ちゃんのポスター


 僕の部屋には、梨華ちゃんのポスターが4枚貼ってあるんだけど、これらのポスターがあるために僕の貴重な時間が削り取られる。1日に何度も目が合って、そのたびに長いこと梨華ちゃんと見つめ合うから。「やだ梨華ちゃん、なんでそんなに可愛いの。かわいい目。やだ、見つめないで。恥ずかしいよ。え? 見つめてるのはふっち君の方でしょって? これはしまった、その通りだった。でも、こうやって目が合ってるということは、梨華ちゃんも僕を見つめているということだろ? んもう、照れちゃって。梨華ちゃんのそんなところ好き。シャイだね。実は僕もシャイなんだ」とか言ったりするから。そしてくちづけをかわすから。「ちゅ。・・・シャイな僕だけど、勇気出してみたよ。梨華ちゃんが好きだから。ずっとずっと大好きだよ」なんて言ってね。4枚のポスターがあるから、それを4回繰り返すんだ。そしてその4回を、一日に何度も繰り返すんだ。


 そんなわけで、僕の時間はどんどん梨華ちゃんのポスターに吸い取られていく。そしてそれと同時に、僕の中にある何かとても大事なものも吸い取られていく。取り返しのつかない何かが。言葉にして説明するのは難しいけれど、青春のきらめきだとか、それに近い感じの何かが。梨華ちゃんのくちびるのあたりが、だんだん変色してきたような気がする。とても汚い色に。しのうかな。