馬鹿について


パッくんは実は馬鹿ではないんじゃないか?」と僕はつねづね思っていた。「パッくんは能ある鷹で、爪を隠しているだけなんじゃないか?」と思っていた。そして最近パッくんはその輝かしい爪をちらちらと覗かせ始めた。やっぱりだ。パッくんは馬鹿じゃなかった。僕のほうがずっと馬鹿だった。たぶん今まで僕が馬鹿だって言われなかったのは、みんな気をつかってくれていたんだ。きっとそうだ。菩薩か、みんな優しすぎる。ふっち君を馬鹿だと言ったらシャレにならん、だってリアルに馬鹿だもん、という配慮があったのか。優しすぎる。ダメだ、馬鹿はだめだ。僕みたいに愛嬌のない馬鹿はもっとだめだ。しかも安らぎを与えない馬鹿、吐き気をもよおさせるだけの糞みたいな馬鹿。まさに馬か、鹿か。いやもっと低劣だ、馬の糞であって鹿の糞。その糞にたかるハエの糞。なんで僕はこんなにフンじみた馬鹿になった? オナニーをしすぎたから馬鹿になったのか、馬鹿だからオナニーをしすぎているのか、どっちなんだ、はっきりしろ。しまった、だめだ、僕は馬鹿だからはっきりさせることができない。マジでどうしよう、そうだ、せめて利口に見せかけよう、横文字だ、わけのわからない横文字を使うんだ、リカニーに対する僕の葛藤を、矛盾した気持ちを、アウフヘーベンさせる! 僕がんばる! アウフヘーベンがんばる! やっべ、ぜんぜん意味わかんね。アウフヘーベンってこういう使いかたであってんの? たぶん合ってない。というこの一連の流れが、まさに馬鹿そのものに思えてきて、ほんとうにどうにもならないんだけども。馬鹿スパイラルにおちいった。そして僕は何も気のきいた言葉を思いつかない。マジで脳みそに糞がつまってるような気がしてきた。普通に匂ってくる。ケツには違和感はないので、これはやっぱり脳みそだよ。脳みそが糞と化したんだ。だれか助けてくれ。だめだ文章が書けない。前後関係がわからない。どこに過去形を使ってどこに現在形を使えばいいのかわからない。君を好きと君が好きの違いがわからない。なにもかもわからないまま、口を開けば「オナニーこそわが人生」だとか、「リカニーは至高。梨華ちゃんのくびれしか好きじゃない」だとか、「顔射だろうが! おまえふざけんなよおっぱいの谷間の上の方に出して精液がその谷間を流れていく様を見てニヤニヤしてんじゃないよ!」だとか、「セックス、セックス、俺はなあ、男女かまわずセックスしたいんだよ、お前はさっさと俺にセックスさせろ、俺はお前のケツの穴をな、梨華ちゃんのまるこに見立てて挿入するからな」だとか、そんなことばっかり言うんだ。僕は、あたまよくなりたいんです。とりあえず、応急措置として、明日から漢字ドリルを始めようと思います。運子、朕子、満子。雲子、沈子、丸子。梨華、手淫、射精、鬱、首吊。