僕の一日。

 朝起きて、僕の隣に梨華ちゃんがいない。「梨華ちゃん・・・おはよう。さみしいよ」
 歯を磨きながら、梨華ちゃんを想う。「りふぁひゃん・・・」
 朝食の目玉焼きの目玉をくり抜きながらまた呟く。「梨華ちゃんは、朝ごはん何食べたのかなあ・・・」
 食後、読書をする。小説の中の女性を梨華ちゃんに置き換えて読む。セックスのシーンがある。「梨華ちゃん・・・梨華ちゃんもいつか誰かとこんなことするんだね・・・もしかしたら、もうしたことあるのかな・・・はぁ・・・」
 昼食、ハンバーグを切りながら。「梨華ちゃん、ああ、いとしいあの人、お昼ごはん、何食べたんだろう・・・」
 昼下がり、こたつでまどろむ。「梨華ちゃんは今頃お仕事頑張ってるのかなあ・・・ダンスレッスンかなあ、ボイストレーニングかなあ、番組の収録かなあ、それとも写真撮影かなあ。はぁ・・・大変だね・・・がんばってね、梨華ちゃん・・・zzz」
 夕方、目を覚ます。こたつでAMラジオを聴きながらお茶をすする。みかんをポンポンとリズミカルに口に放り込む。「梨華ちゃん、お茶がおいしいよ。みかんもおいしいよ。はぁ・・・梨華ちゃんと一緒にこたつに入ってお茶飲んでみかん食べたいな・・・」
 日が沈む。ポータブルCDプレイヤーでkinkikidsを聴く。「愛が苦しみだとぉ〜もし教えられてもぉ〜僕はぁ〜迷わずにぃ〜君を選んだぁ〜だろう〜♪ キミがいるだけでぇ〜ありふれた日々がぁ〜鮮やかに彩られぇ〜愛が満ちてぇ〜行くよぉ〜♪*1 梨華ちゃん・・・僕は苦しいけど、苦しくてたまらないんだけど、梨華ちゃんを好きになってよかったと思ってるよ。苦しいと同時に幸せなんだ。梨華ちゃんのことを想うとね、胸がしめつけられるようだけど、同時にとても心が暖かくなるんだ。苦しみよりも幸せの方が、きっと勝っているよ。ねえ梨華ちゃん、大好きだよ・・・」
 それからまた読書をする。文章が頭に入ってこない。同じ行を何度も何度も読み返す。それでも理解できない。「しかし、それにしても、梨華ちゃん、女の人のあの無慈悲は、梨華ちゃん、いったいどこから、梨華ちゃん、出て来るのでございま、梨華ちゃん、しょう。梨華ちゃん、私のそれからの境涯に於いても、梨華ちゃん、いつでもこの女の不意に発揮する、梨華ちゃん、強力なる残忍性のために私は、梨華ちゃん、ずたずたに切られどおしでございまし、梨華ちゃん、た。梨華ちゃん*2
 晩ごはん。カレーライスを食べる。ぺろり。「梨華ちゃん、晩ごはん、何食べたんだろう。朝もこんなこと言ったなあ。昼も言った。どうしてこんなに梨華ちゃんの食生活が気になるんだろう。なぜかわからないけどすごく気になる。体が一番大事なんだから、いっぱい食べなよね、梨華ちゃん。ちょっとくらい太っても嫌いになったりしないよ。ダイエットなんて無理してしなくてもいいよ。健康が一番だよ。小川だって魅力的だと思うんだ僕は。女の子はみんなあのくらい太った方がいいんだ」
 食後、煙草を吸う。「ふぅ〜。食後の煙草はおいしいや。梨華ちゃんは煙草を吸う男は嫌かなあ。梨華ちゃんが嫌がるなら、煙草やめようかな。あ、もしかしたら梨華ちゃんも煙草吸ってるかも・・・いやあ、まさかね。梨華ちゃんは真面目だもん」
 風呂に入る。貧相な僕のからだ。「みっともないなあ・・・アンガールズよりも痩せてるよ。こんなんじゃ、梨華ちゃんには好かれないな・・・。はぁ・・・。梨華ちゃん・・・。お風呂かあ。梨華ちゃんの入浴。梨華ちゃんの生まれたままの姿。あ、いけない、股間が・・・」
 風呂から上がる。性欲処理をするかどうか迷う。「どうしよう。さっき変な想像しちゃって、そのときの興奮がまだ冷めないや。梨華ちゃん・・・。はぁ、でも・・・。したいけど、でも・・・。うん、決めた、今日はしない。しないぞ。梨華ちゃん、今日は我慢するからね」しかし結局してしまう。「はぁ・・・俺・・・最低だな・・・」
 ベッドに入る。ポータブルCDプレイヤーでTHE マンパワー!!!を聴く。「マンパワーがものごっつい・・・梨華ちゃん・・・もういいよ、そんなにいやらしい歌とかエッチな踊りとか。聴いてられないし見てられないよ。でも同時に梨華ちゃんの破廉恥な姿を期待してる自分もいたりして・・・。ああ駄目だ僕は。さっきも結局いけないことしちゃったし、僕は卑劣で汚い人間だ。梨華ちゃんに嫌われるべき人間だ。はぁ、だけどね、僕は梨華ちゃんに幸せになって欲しいって思ってるんだよ。これは本当だよ。だって僕は梨華ちゃんのこと大好きだもん。大好きだもん」
 枕を梨華ちゃんだと思って抱きしめる。「梨華ちゃん、なんか悲しくなってきたよ。さみしいな・・・。梨華ちゃんと一緒にいたいよ・・・。梨華ちゃん、大好き。他になんて言ったらいいのかな。僕は同じことばかり言ってるね。でも他に言いようがないんだ。梨華ちゃん、大好きだよ・・・」
 眠りに落ちる。夢を見る。梨華ちゃんといっしょにこたつに入って、お茶をすすって、みかんを食べる夢。

*1:kinkikids『Anniversary』

*2:太宰治『男女同権』