紫陽花アイ愛物語の予約


 美勇伝の新曲、『紫陽花アイ愛物語』の予約をしに行こうと僕は考えた。だけどそのタイトルを予約カードに正しく書ける自信がぜんぜんなかった。露ほどもなかった。だから僕はそのタイトルをじゆうちょうに何度も何度も、繰り返し書いた。こんなふうに。



 これでそれなりの自信を得た僕は、CDショップに向けて出発した。チャリンコをこぎながら「紫陽花アイ愛物語紫陽花アイ愛物語・・・」と呟いてイメージトレーニングをした。予約カードにできるだけ丁寧な字で「紫陽花アイ愛物語」と書いた。うまく書けた。満足した。店員のお姉さんにそれを渡すときは、とても恥ずかしかった。脇から冷たい汗が流れた。鼻水も出た。花粉症なんだ。なんでか知らないけど今さら花粉症がひどいんだ。おねえさん。僕は花粉症なんだけど、一生懸命書いたんだよ、「紫陽花アイ愛物語」ってね。手首もちょっと痛いんだ。練習していたら皮がむけちゃってね。初回版、ちゃんと買えるかなおねえさん。僕は梨華ちゃんと握手できるのかな。おねえさん。僕は好きなんです。梨華ちゃんのことが。だからこんなにがんばったんだ。おねえさん、ねえ、聞いてる? おねえさん。そんな目で僕を見るのはやめてください。


 で、「紫陽花」って何て読むの?