ふっち君の日記。

石川梨華ちゃんにガチ恋しているおじさんの記録

ベストヒットTV


 マシューの。美勇伝が出ていた。観ていたら、顔がにやけた。梨華ちゃんが可愛すぎて。そうしたらママンがいきなり部屋に入ってきたので僕はびっくりした。あせった。ニヤニヤ顔を無理やり押しとどめようとしたら口がひょっとこみたいになった。おちょこのようになった口を左右に移動させていたらママンに「あら、ひょっとこ」と言われたので僕は「こんにちは、ひょっとこです」と答えた。・・・ああ、これかな。握手会ではひょっとこの顔つきでもって、「梨華ちゃん、好きです。ひょっとこですけど」と言おう。でもチューしようとしてると思われたら心外だな。警備員にも注意されるかもしれんよ、「あなた、チューするつもりですか石川さんに。つまみ出しますよ。その口は直ちにやめなさい」ってね。僕はどうするかっていうと、「馬鹿を言うな、僕はひょっとこになっているだけだ。チューなんかしないですよ、そりゃしたい、梨華ちゃんにチューなんて、男子一生の念願ですがな。警備員さん、あんただってしたいでしょうに。でもしません。あなたが梨華ちゃんを襲わないのと同じように、僕も梨華ちゃんを襲ったりしません。僕も警備員みたいなものですからね、なにしろひょっとこですから。知ってますか? 警備員の起源って、ひょっとこなんですよ」と答える。たぶん。


 ひょっとこの話はどうでもいい、問題はロバートだ。ロバートがむかついてしょうがないんだ。そもそも顔がむかつくんだ。一番むかつく顔のやつは、誰かっていうと、選べません。三人とも、一番むかつく顔をしています。世界でもっともムカつく顔の一人です。という文章にあてはまる人間が三人いた。それが梨華ちゃんにまとわりついているんだから僕は果てしなくむかついた。ロバートの面々は、収録後に梨華ちゃんを口説いたに違いない。口説くまではいかなくても、それとなく携帯メールアドレスを聞いたに違いない。だって僕がロバートだったら絶対聞き出すもの。あのいやらしい顔をした三人が聞かないはずがないだろうが。たぶんみーよゆいやんには聞かないで梨華ちゃんにだけ聞くんだ。そういう顔をしているよロバートは三人とも。でも一番いやらしくてムカつく顔をしてるのは、どうやら僕だ。いま鏡を見てみたら、僕の顔も世界でもっともムカつく顔の一人だった。ひょっとこの顔つきをしてみたら、宇宙でもっともムカつく顔の一人に昇格した。ひょっとこの顔で梨華ちゃんに携帯メールアドレスを尋ねる自分を想像したら、いまだかつてないほどムカついた。ロバートより僕の方がムカつく。問題はロバートよりむしろ僕だ。今すぐ死ぬべきだ。梨華ちゃんをムカつかせることだけは避けたい。僕は梨華ちゃんを幸せにしてあげたいんだ。人を苛立たせるひょっとこ人間は宇宙から駆逐されるべきなんだ。


 ひょっとこの話はどうでもいい、問題はやっぱりロバートだ。梨華ちゃんとおしくらまんじゅうをしやがるとは一体どういう了見だ。大の大人がちょっと恥ずかしそうにしながら梨華ちゃんの細い腕に太い腕をからめるのはやめ、やめてくださいお願いします。うらやましいんです、正直を言うと。妬みます。心が焼けるようです。僕の夢は、生きているうちに、これだけはやりたいなって思うことは、セックスでもなくクンニでもディープキスでもなく、梨華ちゃんとおしくらまんじゅう、これなんです。僕が夢に描いていることをだね、ムカつく顔をしたロバートのあんちきしょうは、こともなげに達成しくさりやがったんだ。なんていうことですか、僕の夢の世界がテレビの中で繰り広げられていたんですよ。僕はどうしたらいいかわかんなかったから、とりあえずひょっとこの顔をしました。僕はただでさえ醜い顔なのに、もっと醜くゆがませて梨華ちゃんを見つめました。梨華ちゃんの黒くて細い腕に、僕の白くて細い腕をからませるところを想像したんです。楽しかった。ひょっとこが笑うと、きっともっと醜いですね、ひょっとこは何をしてもあざ笑われるんです、それがひょっとこです、ひょっとこクオリティとでもいいますか、隣はとても可愛い女の子がいるのに、その隣には無残なるひょっとこ。最初は楽しかったけど、自分はひょっとこなんだって思ったら切なくてたまんなくなりました。ひょっとこが泣いても誰も同情してくれません。泣いても醜いんです。だから僕は泣かず笑わず、ただ口を丸くして突き出したまま梨華ちゃんが画面から消えるのを確認して、テレビを消しました。


 まあそんな感じです。途中からですます調になった理由はわかりません。なんとなくです。まあひょっとこですから、しょせん僕は。適当なんですよ。でも梨華ちゃんに対する気持ちは適当じゃありません。ひょっとこでも、人を好きになるんです。