結局、セルフカットはやめて、1000円床屋に行った。
「どんな感じにしますか」
「さっぱりした感じで。まあ適当に」
ひととおり切られたあと、
「こんな感じでいいですか。ずいぶんさっぱりしたと思いますが」
「ああ、さっぱりした感じになりましたね」
とりあえず僕はさっぱりした人間になったんだけど、どうもさっぱりしすぎているような気がする。妻夫木さんの失敗作みたいな感じになった。いや、それはちょっと良く言いすぎたかもしれない。山崎邦正の失敗作みたいな感じ。あ、しっくりきた。アンガールズの田中の失敗作。あ、すんごいしっくりきた。しっくりきたけど、ぜんぜん嬉しくない件について。
帰宅してから、髪の毛を脱色しようと思い立った。脱色すれば少しはマシになるだろうと考えた。使用するたびに徐々に脱色されていくというギャツビー泡ブリーチがあったので、それを使った。
泡的な液体を塗りたくって4時間くらい放置してから髪を洗った。全然まっくろのままだった。抜けたのは髪の毛だけだった。禿げが進行した。鏡の中の僕は、相変わらずアンガールズ山根の失敗作だった。あ、まちがえた。田中だった。でもよく考えたらどっちでもたいして変わらない件について。