アンダルシアの犬


 大学行って「美学入門愛と美のかたち」の授業を受けた。その中で『アンダルシアの犬』を観た。いきなり目の玉を刃物で掻っ切るシーンが出てきて驚いた。何だこの映画。女が無意味に車にひかれたり、道端に手首が落ちていたり、何だこの映画。心がざわついてしょうがない。学生が一人、気分が悪くなったらしく教室の外に出て行った。廊下からガツンガツンという物音が聞こえてきた。発狂してしまったんだろうか。気持ちはわかる。僕も発狂しそうになった。まあ実際のところ、僕は梨華ちゃんが好きすぎて発狂しそう、っていうか、発狂してるんだけれど。


 授業終わりに、感想を書いて提出するんだけど、ろくなことが書けなかった。3行で終わった。まず「この映画はひどい映画ですね」って書こうとしたんだけど、映画の「映」の字がわからなかった。右の部分はわかったけど、左の部分が書けない。だから「映画」ではなく「作品」と書いた。「この作品はひどい作品ですね。でも世の中ってだいたいこういうものかもしれませんね。何が起こるかわからない。今日だって、帰りに駅のホームで誰かから突き落とされるかもしれない。怖いなあ」
 提出するときにまわりの学生の感想をチラ見したんだけど、めっさいっぱい書いてあった。長文だった。すごいと思った。3行しか書けない自分が恥ずかしくなった。3行で済ますとか、2ちゃんねるじゃないんだから。大学6年間僕は何をやってきたんだ。2ちゃんねるばっかりやっていたのか。「怖いなあ」って何だよ? 小学生かよ? 映画の映の字くらい、小学生でも書けるぞ?