時計


 時計の秒針を見ていたら、回りかたが異様に速く感じられた。
 僕は時計に向かって、「ちょ、おま、はやいから。はやすぎるんだよ。あわてるな。ゆっくり回れ。というか、できれば止まっていただけないものかな。やめて。梨華ちゃんが汚れるだろうが。これ以上年をとらせるのはやめろ。非処女になったらどうすんだよ。ああだからさあ、なんで回るの? 落ち着けよ。僕の話を聞いてくれ。笑い飛ばしてもいいから。いや、笑い飛ばすのはやめろ。真剣に聞け。お前はそんなに僕の可能性を狭めたいのか? お前が回ればマワるほど、僕はどんどんダメになっていくし、梨華ちゃんと結婚できる可能性も小さくなっていくんだ。だって僕は何も努力していないから。今だって、お前と話をしているだけなんだし。やめて、動かないで! 動くなって、言ってんだろ貴様、叩き壊すぞ! せめて減速しろ!」という一人言をいいました。