キス


 昨日、武道館帰りのモ研の人たちと飲んだ。パッくんの彼女氏に、「僕は梨華ちゃんと結婚したい。ネタなんかじゃない。本当に。」と鹿爪らしく言ったら、「え〜、無理ですよ〜」と言われる。なんだか落ち込んでしまった。無理なのはわかってるんだけど、実際、人からそう断言されると、切ない。顔で笑って腹で泣いた。寅さんみたいに。


 泥酔した僕は、ゆう君とキスをした。キスしようと言ったのは僕だったと思う。だけど冗談だろそれは? 空気読めよ。なんでキスをするんだよゆう君。結構、うまいじゃないかキスが。童貞のくせに。興奮したよ。くちびるって柔らかいものなんだね。僕は基本的には男としかキスしたことないんだけど、キスってのはいいものだと改めて思った。だけど、キスするのは、少年時代に吉田君として以来だった。セカンドバージンだったんだ。梨華ちゃんの為に、ずっととっておいたんだ。僕は、汚れちゃった。泥にまみれてしまったよ、梨華ちゃん。ごめんね。ホモなんだ僕は。男とキスして興奮したんだ。舌を入れてよ、なぜ入れてくれないのっていう気持ちにすらなった。梨華ちゃん、ごめんね。でもね、僕が一番大好きなのは、梨華ちゃんだからね。女の子とはしたことないんだから、いいよね。ファーストキスっていうのは、厳密には、家族以外の女の子とする初めてのキスを言うんだと、僕は思ってる。だから、僕のファーストキスはまだなんだ。ファーストキスは、梨華ちゃんとするんだ。ね、梨華ちゃん。きっと梨華ちゃんのくちびるは、ゆう君なんかよりずっとやわらかいんだろうな。はぁ、梨華ちゃん、キスしたいよ・・・。


 そういえば、パッくんとその彼女氏も、キスしてたな。まあ僕が「おい! キスだけは絶対にするな。絶対にやっちゃダメだよ!」ってネタフリしたからなんだけど。あと、パッくんとゆう君もキスしてた。周りの客がみんなこっち見て、笑ってた。はっきり言って僕らは最悪にDQNだったと思う。
 パッくんが、「俺、この中の誰とだったらキスしてもいい?」って、彼女氏に訊いた。
 彼女氏は、「ゆう君ならいいよ」と言った。
 僕は落ち込んだ。結構傷ついた。僕じゃダメなのか。