ゃ

　ちっちゃい「や」について、少々。僕は、女の子が発する最も美しい言葉は、「ゃ」だと思う。大きい「や」じゃなくて、ちっちゃい方の「や」。すなわち「ゃ」。大きいほうの「や」だと、どうにも気持ちがなえる。これは拒絶の言葉なんだ。本当に「嫌」なんだ。それに対して、「ゃ」は、いやよいやよも好きのうちというのが当てはまる種類の「や」なんだ。だから、僕は大好きなんだ。「ゃ」が。ゃって言って欲しい。もうすごく興奮してくる。本当は嫌じゃないのに、拒絶風味の言葉を発してしまうこの繊細かつ複雑な女心！　ああ僕はそういうのが、いとおしくてたまらないんだ。僕の大好きで最もいとしく思う人が、もし僕の前で僕に対し、「ゃ」なんて言ったら、卒倒する！　そのまま死んでもいい！　「ゃ」と言うときにその乙女は、拒絶しているようでいて、実は絶対的に身を相手に委ねているんだ。こんなに素晴らしい言葉が、他にあるだろうか？　いやない。