白夜行の474ページで勃起

 ハロモニの時間、半覚醒状態で眠っていたら、母親が部屋に飛び込んできて、うきうきした声で、「ちょっと、起きなさいふっち君。12ちゃんにリナさんが出てるわよ」と言った。
 なんでか知らないけど、うちの母親は梨華ちゃんの名前を正しく覚えてくれない。5回に3回はリナさんって呼ぶ。何回ちがうよ、梨華さんだよって言っても、変わらず一定の割合でリナさんって呼ぶ。ボケちゃったんだろうか。もういい年だもんな。ボケた人には何言っても無駄だろうなと思って、放っておいた。
 「どうしたの、見なくていいの? かわいらしくお料理してるわよ」
 ハロモニは録画してるからべつにいま見なくたっていいんだよ。そう言おうと思ったけど、めんどくさかったので、「ああ、そう」とだけ言って、布団を頭までかぶった。母親は拍子抜けしたように、「なによ、せっかく教えてあげたのに」と言って部屋を出て行った。僕は梨華ちゃんがかわいらしく料理してるところを想像した。胸がきゅんとなった。つい顔がにやけた。梨華ちゃん。とつぶやいて、目をとじた。りかりん。

 起きて、白夜行の続きを読む。江利子ちゃんがかわいい。ネガティブでうぶなところが気に入った。梨華ちゃんもこんなかな。きっとこんなだろうな。って思って、梨華ちゃんに重ねて読んでいたら、あろうことか江利子が強姦された。ちょっと待てよ。ふざけんなよ。処女だったんだぞ、梨華ちゃんは。江利子ちゃんは。畜生、許せない!と、拳を振り回しながら読み進む。そしたら犯されてはいないことがわかり、心底ほっとする。よかった。梨華ちゃんはまだ処女なんだ。

 ちょっと眠って、起きたら白夜行、眠って、起きたら白夜行。それからネットなどしたら、つよぽんの新曲が出ていることを知る。もう夜も遅くなってる。店がしまっちゃう。急いで着替えてBOOK&CDショップに行く。なんとなく文庫本コーナーに行って、なんとなく目についた青春の門を立ち読み。そういえばこれ高校のとき読んだけど、1冊目で挫折したなあ。あのころは学校の先生に片恋してたっけ。若かったよな、当時は。なんという無謀な恋をしたんだろう。馬鹿だよなあ。でも、今はもっと馬鹿だよなあ。相手はアイドルだもんな。なにやってんだ、いい年して。だけど好きなんだから、しょうがないよな。梨華ちゃんのことは諦められないよ。ペラペラめくってたら、主人公がオナニーのやり方を教えてもらうシーンがあった。性体験豊富そうなおっさんが主人公に言う。だいたいこんなことを。「これは、やりすぎると、だめになっちゃうから、気をつけろ。猿なんかは、やりすぎて死んでしまうものもいるんだぞ。やりすぎるなよ」僕は、こんなのは知らなかった。オナニーって、やりすぎると死ぬのか。猿が死ぬなら人間が死んでもおかしくない。なんだよ。僕はシャレんなんないほどやってるぞ。猿みたいにやりまくってる。そうか、僕は死んでしまうんだな。やった。オナニーで死ねるなんてこれ以上の喜びはないじゃん。よし、もっとしよう。

 オナニーの回数を増やすことを胸に誓って、僕はCDコーナーに行った。そうしたらワットのでかいポスターが目に入った。徹平だ。これが、死ぬほどかわいかったんだ。男なのに胸がキュンとなった。男ですらこうなるんだから、女だったら、もう。不可避的にズキュンLOVEなんじゃないのか。やっぱり。梨華ちゃんも、惚れちゃうよな。畜生。ああ、僕が徹平だったらよかったのに。ついてない。僕は結局のところ、生まれたその時点で負け組なんだろ? なんだよそれ。不公平すぎやしないのか。ふざけんなよ。納得いかないよこんなの。僕はこんなに、死ぬほど梨華ちゃんのこと好きなのに、見向きもされない。徹平は別に好きでもなくったってその気になれば梨華ちゃんとセックスできるんだ。おかしいよこんなの。そう思いませんか?

 僕は徹平が憎らしくなって、あらんかぎりの悪意をこめてポスターを睨みつけた。しかし徹平はあまりにもかわいすぎた。だんだん頬の肉がゆるんでいくのが感じられた。悪意はじょじょに好意に変わっていく。だめだ、好きになっちゃだめだ、こいつはいつか梨華ちゃんを奪い去るかもしれない人間なんだ。僕の敵なんだ。でも、でも、好きだ、畜生、かわいすぎる。大好きだよ僕、徹平くんのこと、ほとんど愛してると言ってもいいくらいなんだ。認めたくはないけど。くそ、こういうことか。このようにして、世の女は徹平に不可避的におぼれていくのか。きっと梨華ちゃんもか。やめろ、やめてくれ。徹平くん、僕は君のことを愛してる。だからお願いだよ、梨華ちゃんだけには手を出さないでほしいんだ。ね、世の中には可愛い子いっぱいいるだろ? 梨華ちゃんじゃなくたってかまわんだろうが。ごっちんでいいだろ。かわいいじゃんごっちん。もしくはオラを差し上げる。だから梨華ちゃんは僕にゆずってください。このとおり。土下座だってなんだってするよ。僕は梨華ちゃんのことが大好きなの。ほんとだよ。わかってくれるよね。そう? 了解? ありがとう徹平くん。さすが僕を胸キュンさせるだけのことはある。いいやつだな。これは男と男の約束だよ。やぶっちゃだめだからね。

 徹平と和解した僕は、つよぽんのCDを買って、うきうきした気分で家路を急いだ。つよぽんのCDを聴いた。正直イマイチだった。声は良いけど、曲がなんだかぼんやりしてる。出そうで出ないくしゃみみたいで、すっきりしない。何度も聴けば良くなるのかな。でも、何度も聴く気はしないなあ。

 それから風呂に入る。梨華ちゃんの写真とおっぱいちゃんを持っていく。梨華ちゃんの写真を、湯にひたしてみる。どれだけ強度があるのか調べてみたかった。結論としては、いくら水に濡れても決してふやけないということがわかった。すごい。これは画期的な事実だった。これからは、お風呂でリカニーするときはハロショの生写真で決まりだ。いいのがあったら、2枚買うようにしよう。

 おっぱいちゃんで、パイズリカニーを試みる。いちど、パイズリってやってみたかったんだ。Bカップだから、やりにくかったんだけど、なかなか良かった。梨華ちゃんが小さいおっぱいを必死に寄せて挟んでくれるところを想像したら、すごく興奮した。

 風呂につかりながら、おっぱいちゃんを自分の胸に装着してみた。なんか女の子になった気分。梨華ちゃんもこんな感じなんだ。梨華ちゃんにちょっと近づけたようで、嬉しい気持ちになった。そのまま自分のおっぱいをもんでみた。おっぱいちゃんの下には本物の自分の乳首があるから、揉むと同時に乳首が擦れて、気持ちよくなった。おっぱいを身につけた僕は、だんだん母性本能が目覚めてきて、男の人に乳首を吸ってもらいたくなった。徹平、吸っていいのよ。あん、もっとやさしく。でも、だめよ、いれないで。結婚するまでは、処女を守るの。

 多少、自己嫌悪におちいりながら、風呂を出る。ベッドに腰かけて、なんとなくおっぱいちゃんを揉んでいたら、また勃起してきた。こんどはオナホールに入れたくなった。エンジェルズの裏表紙を見ながら、ゆっくりとしたスピードでリカニーした。まったリカニー。

 これで性欲も消え去ったので、白夜行の続きでも読むことにする。そうしたら474ページで唐突にセックスが開始され、しかもそれが生々しくて、だんだん、もう、また、性欲が復活してきた。梨華ちゃんもこんなことするの? うそだね、そんなわけない。梨華ちゃんは誰にも股なんか開かない。徹平以外には。徹平だと? また徹平か。うんざりだ。それはそれとして、勃起はすごかったので、リカニーせざるをえなかった。梨華ちゃんと、あんなこと、したい。こんなことして、そんなこともして、ああ、うそだろ、梨華ちゃんがセックスなんて、認めないぞ僕は。あ、あ、梨華ちゃん! 好き! 大好き! 今日3回目のリカニーを終えた僕は、なんか疲れてしまったよ。だるいんだ。寝る。白夜行は、面白いけど、エロ過ぎる。そして長い。この日記も長い。