白痴

 朝起きて、完全に美しい人間になろうと思った僕は、ドストエフスキーの『白痴』をむさぼるように読みふけった。それを読んで、ああ、馬鹿になれば美しくなれるんだと理解した僕は、これからは馬鹿になるよう努力しなければならないと考えた。今まではちょっと頭が良すぎた。馬鹿になる必要がある。まずとにかく、文盲になろう。話はそれからだ。石川梨華っていうのを、まず読めなくなろう。いしかわりか。いしかわりか。りかちゃん。梨華ちゃん。畜生、ダメだ、何度読んでも読めてしまう。梨華ちゃん梨華ちゃん。ああ、大好きだよ、梨華ちゃん。僕はどうやら完全に美しい人間にはなれないようだ。ちょっと頭が良すぎるし、梨華ちゃんが好きすぎるから。