遺書

 そんなわけで僕は埼京線に乗り、ゆう君に自殺を持ちかけながら電車に揺られた。ゆう君は結局、話に乗ってこなかった。
 「いいよ、じゃあ僕だけで死ぬ」と宣言するに至っても、「そうですか、僕は止めませんよ」と、冷徹きわまりないセリフを口にした。「ゆう君はさあ、どうせ死なないと思ってんだろ? 冗談じゃない、明日じゅうには死ぬぜ僕はな」と、真面目に言ったんだけど、それに対してもゆう君は、「どうせ明日になったらまた明日じゅうに死ぬとか言うんでしょ、つきあってらんない」とかいうようなことを述べるから、僕は本当に、今月中には死にたくなった。
 「でもとにかく、死ぬから。決めたんだ。止めないでくれ、絶対に止めたりしないでくれ」
 「だから、止めませんよ!」
 「え? 止めないの? なんで? 止めてよ!」
 「止めませんよ! さっさと死ね!」
 僕は、死ぬ前に遺書を書こうと思う。そこには、ゆう君が止めてくれなかったから死にます、という文章を丁寧に書き記す。僕は本当に、ひどい後輩を持ったものだな。泣きそうだよ。