ふっち君の日記。

石川梨華ちゃんにガチ恋しているおじさんの記録

50年後の君も今と変わらず愛しています

 昨日、「ある閉ざされた雪の山荘で」という東野圭吾の小説を読んだせいか、ある閉ざされた雪の山荘の夢を見た。僕はまっさきに殺されて、まっさきに舞台から消えた。グッドだと思った。ぜんぜん悪くないな。僕はこの世界でもまっさきに殺されるべきだった。中絶されるべきだった。いやそもそも、父親は母親に中出しをするべきじゃなかった。セックスするべきじゃなかった。なんでみんなセックスなんてするんだろう。気持ち悪いなあ。ゲロを吐きそうだ。でもどういうわけだろう、僕はこんなにセックスが嫌いなのに、梨華ちゃんとセックスがしたい。

 財布が空になっていたので、お金を下ろしに行った。帰る途中、昔郵便配達をしていたところを見てまわった。新しいマンションがボンボン出来ていて、以前とは雰囲気が違っていた。なんだか不自然な感じがした。映画のセットみたいだ。すごく安っぽくて平面的。裏にまわったら中身がないんじゃないかと思って裏を見てみたけど、ちゃんと中身はあった。人が住んでるみたいだった。みんなセックスが好きそうだった。前は、こんなんじゃなかったんだけどなあ。

 家に帰って、ディナーショーの時に買った高いシャツの匂いをかいでみたら、変な匂いがした。モンテローザ的な腐臭がした。仕事着の上に積んであったから、匂いが移ったんだろうと僕は推理した。まあ着ていれば匂いはとれるだろうと思ってそれを着て同窓会に出かけた。

 太陽がまぶしかったので20分遅刻した。僕はビールを飲んだ。「ふっち君はふだん何をしているの」と女子に訊かれ、「き、基本的に何もしてないけど、あ、敢えるなら、読書かなあ」とどもりながら答えた。「ふっち君は一番最近にはどんな本を読んだの?」と女子に訊かれ、何の本を挙げるかすごく迷った。本当のことを言えば「ある閉ざされた雪の山荘で」なんだけど、たぶん知らないだろうなあ。僕は、これなら知ってるだろうと思って、ノルウェイの森と言った。「ん? 知らないなあ、でも幻想的な感じのするタイトルね」。うーん、そんなに幻想的でもないんだけどな。「ところで作者は誰なのかしら?」と訊かれ、村上春樹と答えると、「ん? ああ、知ってる知ってる。読んだことはないけど」。なんだか微妙な雰囲気になった。ただちに立ち去りたくなったけど、その子はかわいい顔をしていたので立ち去るのはもったいなく思われて、結局は立ち去らなかった。なんだろう、僕は走れメロスとでも言えばよかったのにな。太宰にすればよかった。みんな知ってるし、ふっち君はガラスのように繊細で壊れやすい人間なのね、すてき、セックスしたいと言ってくれたかもしれない。まあそれは断るけど。セックスは嫌いなんだ。

 恋愛の話になり、「ふっち君は、告白というものをしたことはある?」と訊かれる。誰にも告白なんてしたことない。「こ、告白したことはないよ、どっちかというと、告白されたい、なあ。(梨華ちゃんに)」。その女子は「女の子は、告白されるほうを好むのよ、待ってるだけじゃ駄目よ、告白しないと始まんないのよ」と僕に説教をした。それに対し僕は、男の子だって、告白されるほうを好むんだと反論したかったけど、論破されそうに思えたのでやめた。論破はされたくない。みじめな気持ちになる。「ふっち君は、もし告白するとしたらどんな風に告白するの?」と訊かれ、しばらく考えてからこう答える。「ご、50年後の君も、今と変わらず愛してます」。なかなか悪くない答えだと思って、わくわくしながら突っ込みを待ったんだけれど、「わー、ロマンティックね、すてき。やるじゃん、ふっち、やるじゃん!」「あー、俺は無理だわ、そんなの無理、50年も愛せないぜ、ぜったい無理だ」というようなマジレスが返ってきて、ものすごくびっくりした。ちょっと、ちょっとちょっと。これは101回目のプロポーズだろ、なんでわからないんだ。おかしい、そんなのって理解できない。これは冗談で言ったんだ、マジで取らないでほしいんだけれど。まいったな。

 趣味の話になり、「ふっち君の、好きなものってなあに?」と訊かれる。ご趣味は。そうですね、好きなものは、リカニーです。だめだな、これは。シモネタは良くない。好きなものは、石川梨華です。これもどうかと思うね。直球すぎる。好きなものは、美勇伝です。ははは、駄目だって、普通の人は美勇伝なんて知らないんだから。というわけで、「も、もぉ〜、モーニング娘。です」と答えた。となりにいたK君が、「モームスか〜、あれか、あ〜モームスといえば、最近タバコ吸ってる人がいたね、フラッシュに載ってた、誰だっけ、そうそう辻ちゃん」。おいおい。何もかもが間違ってる。突っ込み所が多すぎる。突っ込み切るのに30時間くらいかかりそうだ。「違うわよ〜、タバコ吸ってたのは、辻ちゃんじゃなくて、加護ちゃんだよ!」と誰かが言った。K君は、「辻ちゃんだったような気がするけどな。うーん、まあどっちでもいいや」。まあそうだよね。僕もどっちでもいいと思うな。よく考えたら、タバコくらい、誰がどこで吸おうがどうだっていいよな。

 そこで僕は自慢をしたくなってきて、携帯の待ちうけをみんなに見せた。梨華ちゃんと僕の2ショット画像を。
 「あ、あの、これ、石川さんと、写真をと、とったんだけど」
 「わーすごい、かわいいねえやっぱり。2ショットっていうのは、すごいわね。2ショットなんて、なかなか撮れないんじゃない?」
 んー、厳密に言えば3ショットなんだけど、それは保田さんを切り取って2ショットにしたものなんだけど、話が長くなりそうなのでそれは言わなかった。「んー、ふっち君すごいなあ、すごいなあ、ふっち君すごい」って言われ、なんとも言えない気持ちになった。僕ははっきり言ってぜんぜんすごくない。すごいことは何もしてない。すごいのは梨華ちゃんだけだよ。

 生中を4杯飲んで、酎ハイに手を出した。280円。いちばん安い。これが恐ろしいくらい濃いんだ。びっくりした。海峡の倍以上濃い。それを2杯飲んで僕は超超超、いい感じ、超超超超いい感じになってしまい、シモネタを乱発した。よく覚えてないんだけど。「この中で童貞なのは僕だけだろうな」と言ったら、殴られた。そして風俗をすすめられた。「この中に、処女はいるかな? いないんだろうな」と言ったら、また別の人に殴られた。そして風俗をすすめられた。僕はゲロを吐く寸前まで行った。ゲロを吐いたら負けだと思ったので、我慢した。

 店を出て、「ゲロを吐きそうだ」と言ったら、「ふっち君は酒弱いのね」といわれた。そうなんだ。僕は最近酒が弱くなったんだ。どうしてだろう。「ゲロ、吐いちゃった方が楽になれるぞ、吐いちゃえよ」といわれたけど、わかってない、お前らは何もわかってないんだ。吐いたら負けなんだよ。吐くわけにはいかないんだよ。

 僕はふらふら歩いて家まで帰った。途中で、煙草の箱が落ちていたので拾った。フィリップモリスだった。7本くらい入っていた。僕はそれを吸いながら、永遠にふらふら歩いた。50年後の君も今と変わらず愛しています、だってさ。ははは。笑っちゃうよね。明日のことだってわかりゃしねえんだよ。