ひまつぶしにウイイレ7インターナショナルをやる。ドイツワールドカップのシミュレーションを試みる。日本代表の入ったグループには、ブラジル、クロアチア、オーストラリアがいる。難易度はデフォルトで、星3つ。
初戦はクロアチア。注意するべきはモドリッチだ。若き天才レジスタモドリッチさえ止めればなんとなる。僕はモドリッチを徹底的にマークすることにした。しかしながらモドリッチはどこにもいなかった。おかしいな。さっき見かけたんだけど。トイレで糞でもしてるんだろうか。宿舎に忘れ物でもしたんだろうか。でもとにかく、今はいなくても、いつか戻ってくるはずだ。それがモドリッチのモドリッチたる所以なんだ。だけどモドリッチは後半が始まってもモドリッチしてこなかった。僕はモドリッチにばかり気をとられていて、他の選手に対するケアがおろそかになってしまった。ふちりんジャパンはそこを突かれた。なんとかビッチがなんとかビッチのスルーパスに反応し、坪井がそれについて行けず、宮本が苦し紛れにオフサイドトラップをしかけるが時すでに遅く、ドフリーになったなんとかビッチの鋭く低い弾道のシュートがゴール右隅に突き刺さった。後半40分の出来事だった。そしてそのまま試合が終了した。モドリッチはモドリッチのくせに最後まで戻ってこなかった。見事にしてやられた。これがクロアチアの作戦だったに違いない。1-0。大事な初戦を落としてしまった。ふちりんジャパンは厳しい立場に追い込まれた。ブラジルにはなんとしても勝たなければならない。
ブラジル戦。注意するべきは、いわゆるひとつの3Rだ。ロナウド、ロナウジーニョ、リバウドの3人である。僕はこの3人を徹底的にマークした。こんどはさっきのモドリッチと違ってちゃんと出場していたので、精神的に揺さぶられることはなかった。ただ3人を抑えることに集中するだけでよかった。僕はうまく動きを封じることができた。リバウドのパスはことごとく宮本がカットした。ロナウジーニョのドリブルは坪井がぜんぶ止めた。ロナウドの苦し紛れのシュートは宇宙を開発した。そしてわが日本は俊輔のクロスからドラゴン久保のヘッディングで先制。さらに俊輔のスルーパスを受けた柳沢がゴール左隅に流し込んで駄目押し。日本優勢のまま試合は2-0で終わる。試合後、柳沢は力強く語った。「もう誰にも俺のことをヘナギサワとは呼ばせない」
オーストラリア戦。ブラジルとクロアチアは最終戦を終えて勝ち点6、日本はここで勝ちさえすれば得失点差で2位に滑り込める。オーストラリアは実力的には五分だが、グループリーグ敗退が決定しているため、モチベーションの低下が予想され、ふちりんジャパンの決勝トーナメント進出はほとんど確実と思われた。しかしながら、2-1で負けた。三都主アレサンドロのクロスから高原のヘッドで先制して、楽勝ムードがただよったのだが、ここでとんでもないことが起こったのだ。なんということだろう、モドリッチが戻ってきたのだ。GK川口の後ろあたりをうろついて、「おれ、モドリッチ、もどってきた。モドリッチだけに」と、囁きかけるのだ。川口も馬鹿だから、それを聞いて、みんなに大声でコーチングしやがったのである。「おい! みんな注意しろ、モドリッチが戻ってきたぞ!」と。みんなモドリッチが戻ってきたことで動揺してしまって、オーストラリアどころの話じゃなくなってしまった。そのようにして我々ふちりんジャパンはヒドゥカに2得点を許した。これは、言うまでもないことだが、クロアチアの作戦だった。日本が負けたことによってクロアチアは2位を守り、決勝トーナメント進出を決めた。川口は戦犯にされて、あらゆるメディアで叩かれることになった。2ちゃんねるでは川口死ねというスレが2000スレくらい立った。きゅうりのキューちゃんは何も悪いことしてないのに、きゅうりのキューちゃん不買運動が起きた。
で、最終的にどこが優勝したのだろうか? それは誰もわからない。神ですらわからない。なぜならそこでゲームオーバーになってしまったから。でもたぶんクロアチアではないかと思う。だってモドリッチがいるからね。