さよなら天さん

 3月も今日で終わりということで、朝起きてからずっと破滅的にせつなかった。僕の部屋はいつもより破滅的に見えた。ポスターの梨華ちゃんは破滅的にかわいく見えた。鏡にうつる僕の姿は破滅的に醜く見えた。僕はなんとかして破滅的なものから逃れようと、昼間から眠ってみたんだけど、破滅的な夢を見た。そこでは人びとがことごとく破滅していった。楽しげに破滅するもの、悲しげに破滅するもの、いろいろな破滅のしかたがあったけど、いずれにしてもみんな破滅した。最終的に夢すらも破滅して、僕は現実の世界に戻ってきた。だけど、あいからわずここには破滅の予感が充満していた。僕は破滅に抗おうとして、創造的な行為をしようと考えた。そうだ、セックスをして子供を誕生させよう。新たな生命、それは希望の光。しかし相手がいなかった。梨華ちゃんとコンタクトをとろうと思ったけど、電話番号を知らなかった。あてずっぽうに電話をかけて、梨華ちゃんにつながることを期待したが、何度トライしてもどこにもつながらなかった。僕は携帯電話をそのへんに放り投げた。セックスは断念するよりほかになかった。しょうがない、リカニーで我慢するか、と思ってリカニーをしたけど、これもやはり破滅的だった。破滅的に気持ちよかったし、精子はことごとく破滅して死んでいった。あとには何も残らなかった。ただ破滅的にせつなくなっただけだった。

 僕にはもう破滅と戦う元気がなくなってしまった。僕は破滅に対抗するのはやめて、破滅と仲良くなるという道を選んだ。破滅を受け入れるんだ。自分でもどんどん色んなものを破滅させてゆくんだ。破滅の手先となった僕は、とりあえずドラゴンボールZスパーキング!をやり始めた。悟空や天津飯を破滅させ、フリーザドドリアを破滅させた。善いものも悪いものも関係なく死に追いやった。街や島や神殿やらもどんどん破壊した。僕はだんだん破滅が好きになってきた。最終的に僕は、自分自身を自分自身の手で破滅させたいと思った。チャオズを操り、どどん波を打ちまくって、最後の最後で、さよなら天さんという技を使って自爆した。さよなら梨華ちゃん。でもゲーム上の仕様で、死んだはずのチャオズは起き上がり、甲高い声で笑った。