ふっち君の日記。

石川梨華ちゃんにガチ恋しているおじさんの記録

DVDを見る

 家に帰って、しばらくうずくまった後、ビニール袋からDVDと死体を取り出す。僕は小さくなったその死体を窓から放りなげる。ベチャッという蛙のつぶれるような音がした。それからDVDのケースを開けてディスクを取り出しPS2にセットする。僕は画面が表示されるまでのあいだDVDのジャケットを見る。水着姿。梨華ちゃんのすさまじく綺麗でエッチな体を見ていたらむらむらしてきた。リカニーをしようか。いや、あとにしよう。いまはとりあえずDVDを見よう。そして映像が流れ出して、それを見ていたら、ニヤニヤがとまらず、体が脱力していった。思うように力が入らない。握力はさゆみん以下になる。僕は妙な笑みを浮かべながらナメクジみたいになって床をうごめいた。

 メイキングのとき、梨華ちゃんのテンションが低いのが気になった。なんだか元気がない。どうしたんだろう。緑色のうすい布をぴらぴらさせながら、梨華ちゃんは泣いてるように見える。目がやたらキラキラ光っている。ライトのせいか。本当にそうか? 梨華ちゃんは、衣装については全く触れなかった。いつもなら「これどうかしら、セクシーでしょ!」とか言うのに。やっぱり嫌なんだ。きっとそうだ。こんな衣装本当は着たくないんだ。ちくしょう、無理やりこんなもの着させやがって。最後に、梨華ちゃんはカミングアウトした。「今日、実はずっと歯が痛かったんです」だって。テンションが低いのは、歯が痛いからだって言いたいんだろうけど、そんなの信じられない。本当はさあ、梨華ちゃん、嫌だったんだよね。こんな衣装着るのは嫌だったんだよね。男の僕だってあれを着るのは恥ずかしいよ。きっと梨華ちゃんはもっと恥ずかしいよね。僕は悔しいな。何もしてあげられなくて。梨華ちゃんのこと、ぎゅって抱きしめてあげたいけど、それもできない。せめて涙を拭いてあげたいけど、それもできない。何もできない。なんて無力なんだろうか僕は。ああ僕が、もしニートじゃなくて石油王だったら、アップフロントなんて今すぐ買収してやるのに。梨華ちゃんを哀しみから救ってあげるのに。