荷物を

 しまうためにロッカーの並ぶところに行く。それは図書館の書架を連想させた。日本文学、ロシア文学英米文学。僕は歴史の棚の奥のほうに行って、穴に300円入れた。するとそれは華厳の滝のように流れ落ちて行き、猛烈なしぶきの音が上がった。僕はびっくりした。あっけに取られて「え!」ていう少し引っくり返りぎみの声が出た。金、戻ってこないのかよ。温泉とかにあるロッカーはちゃんと戻ってくるぜ。ふざけんじゃねえぞ糞め。こんなのは糞だろうが。いい商売しやがって。うーん、僕も将来はロッカー屋さんになろうかな。いい場所さえ取れれば、たぶん安定した収入が期待できると思う。でもどうやっていい場所を確保すればいいんだろう。わからない。まあいいや、それについては家に帰ってからゆっくり考えよう。ロッカー屋になったら、毎日のんべんだらりと過ごそう。梨華ちゃんと結婚するにも問題はない。何しろ僕の職業は安定している。堅実でリアリストな梨華ちゃんは、そのへんのrockerよりも僕というlocker屋をえらぶだろう。で、梨華ちゃんと結婚したら、まいにち梨華ちゃんとのんべんだらりして過ごすんだ。いつもいっしょ。トイレだっていっしょ。ああ、幸せだな。