双眼鏡を通して

 梨華ちゃんを見つめる。僕の胸がドラムみたいな大きな音を立てていることに気付く。僕は胸の鼓動がはげしくなりすぎて、死んでしまうんじゃないかと不安になった。それだけは避けたい。だって僕はここにずっと生きていたい。梨華ちゃんを見つめながら、ここにいたい。今、とても幸せなんだ。死にたくない。僕は胸にそっと手をあてて、鼓動がしずまるよう念じた。だけどそれは無駄な努力だった。梨華ちゃんと目が合うたびに、僕の心臓は跳ね馬みたいになって体じゅうを駆け回った。