リカニー

 今日はどんなリカニーをしようかなあ。午前3時、車の走る音以外なにも聞こえない部屋でぼんやりと考える。14分くらいぼんやりしたのち、どんなリカニーをするかが決まった。あのスポーツタオルを使おう。美勇伝のライブのときに買った、ほぼ等身大の梨華ちゃんがプリントされたマイクロファイバースポーツタオルを使って、リカニーをしよう。

 僕はマイクロファイバースポーツタオルをベッドの上に広げた。何となくいったんもめんを連想した。裏返してみると、それはほぼ純粋ないったんもめんになった。でも僕はいったんもめんに用はない。梨華ちゃんのぬくもり、それだけに用がある。あとおっぱいちゃんにも用がある。というわけで僕は秘密のブラックボックスからおっぱいちゃんを取り出した。おっぱいちゃんはハロショの青いビニール袋に入っている。これは画期的なカムフラージュである。この世界のいったい誰が、ハロショの袋の中におっぱいが入ってると予想するだろうか。いやしない。とにかく僕はおっぱいちゃんをビニールから出して、マクラの上においた。そしてその上に梨華ちゃんのタオルをかぶせる。これで出来上がりだ。

 僕はおっぱいちゃんを梨華ちゃんのタオルごしに揉む。もみしだく。乳首を口にくわえて、むぱむぱした。梨華ちゃん、ノーブラなのか、みたいな思考が頭の中にうずまくが、これははたして思考と呼んでいいものなのだろうか。思考というものは、ノーブラがどうとか乳首をむぱむぱとか、そういうものを言うのでなく、もっと高尚な、何だろう、ポップコーンなんちゃらとか、カンパチとか、モー神通信とか、そういうもんじゃないだろうか、という思考がさらにその上でうずを巻きはじめ、なんだかわけがわからなくなった。しかしその混沌に巻きこまれながらも、いわゆるむぱむぱとしこしこは止まらなかった。僕はむぱむぱしながら梨華ちゃんのことを愛したし、しこしこしながら梨華ちゃんのことを愛した。これが愛じゃなければいったいなんだ? 何を愛と呼ぶのか?と思うくらい、僕はひたすらに懸命に梨華ちゃんを愛撫したし、自分のあふれる気持ちを梨華ちゃんに注ぎこもうとした。梨華ちゃんに包まれたマクラを抱きしめると、ああ、好きだ、好きだ、好きだよ、って耳もとに囁いた。そしてもう、たかまってきちゃって、座位みたいな姿勢に僕と梨華ちゃんはなった。ああ、好きだよ、とかいいながら、むぱむぱしようとしたら驚いたことに、梨華ちゃんのおっぱいが下にずれてきた。梨華ちゃんが畸形になった。あるいは梨華ちゃんは急に年をとっておっぱいが垂れさがったのか。いやそんなわけはない、だってこれは梨華ちゃんじゃないもの、梨華ちゃんに似た何かに過ぎないんだもの、と思いながら、おっぱいちゃんの位置を直した。心臓のあたりに何か冷たいものが発生し喉もとへせり上がってくるのを感じたが、それをぐっと飲み込んで、むぱむぱに改めて取りかかった。梨華ちゃんのおっぱいがずり落ちないように、体をかたく抱きしめ、頬に強く顔をおしつけた。梨華ちゃんをささえる作業は右手でおこない、しこしこする作業は左手でおこなった。僕はもう、気持ちがよくてたまらなかった。ここはまさしくヘブンなのだろうか。そのときまだ3分も経っていなかったけど、腰のあたりに重い熱を、射精の前ぶれを感じた。ティッシュをそそくさと用意し、梨華ちゃんを抱きしめキスをしながら、射精した。僕の頭の中はほんまもんの阿呆みたいにからっぽになって、目の前に横たわる梨華ちゃんに似たものをぼんやり見つめた。3分13秒くらいぼんやりしたあと僕は、梨華ちゃんの名前を半ばオートマティックに何度もつぶやきながら、梨華ちゃんタオルとおっぱいちゃんを取り外す。マクラをもとの位置にもどす。おっぱいちゃんをブラックボックスにしまう。梨華ちゃんのスポーツタオルを正座してきれいに折りたたみ、マクラのそばにやさしく置く。