くちびるから愛を

 のどごし生を飲んだら、「まずい」という言葉がでた。とてもナチュラルに。CMでは、グッさんとちーちゃんが「うおお、うめえ!」みたいなこと言ってるけど、あんなのは嘘だ。彼らは札束欲しさにまずいものをうまいと言って僕らを騙している。普通の人がのどごし生を飲んだら「まずい」って言わないわけがない。僕は安酒バッカスふっち君で通ってるわけだけど、そんな僕でさえのどごし生は心からまずいと思った。ぜんぜんのどをこしていかないから驚く。むしろ逆流していくからね。ほとんど罰ゲームだぞこれは。

 どんなにまずくても酒は酒、僕は酔った。そのいきおいで、美勇伝説3のDVDをみた。梨華ちゃんがかわいすぎて、もうどうしたらいいのかと神に問いたい。涙がものすごく出た。梨華ちゃんはかわいくて素敵だろ? でも泣くんだよ。好きすぎるから。だらだらと涙を流してるわけです。みっともないね。僕は梨華ちゃんにキスをしたくてうずうずし出した。画面に顔を接近させたら、静電気が炸裂したよね。ぱちぱち音をたてたよ。でも僕はそんなの気にしなかった。梨華ちゃんが好きだからね。目の前に梨華ちゃんがいたよ。梨華ちゃんはね、近くによればよるほど可愛いんだ。僕は、どんどん興奮の度がたかまっていってね、ついにはキスしちゃった。静電気がさ、僕を遠ざけようとするかのように、激しく踊りくるったけど、僕はさ、キスしちゃった。テレビ画面にくちびるをつけた。そそぎこんだね。たっぷりと愛を。でも唐突に画面がきりかわって、ゆいやんが大写しになったときはおどろいた。すぐにくちびるを離したよ。ゆいやんのことは好きだけど、愛してはいないからね。

 僕はDVDをみてるあいだずっと、苦しくて苦しくてたまらなかった。死にたくてしょうがない。梨華ちゃんがかわいいから。あまりにも素敵すぎるから。梨華ちゃんと一緒に生きていけるなら、それは素晴らしいことだよ。きっと楽しいだろう。でもたぶんそれは無理なんだろうって思うんだ。だから僕はどうしようもなく死にたくなる。「梨華ちゃんが幸せに暮らせれば、それが僕の幸せだ」って思えたら、いいんだろうけど。残念ながら僕はそこまで器の大きい人間ではないんだ。僕はちっぽけな男で、やっぱり、梨華ちゃんにそばにいてもらいたくて、しょうがなくて、涙がとまらなくて、梨華ちゃんを誰かにとられるくらいなら、いっそのこと死んでしまいたいと、思ってしまうんです。僕は、梨華ちゃんのことが大好きなんです。好きで、好きで、たまらないんだ。