絶望的な気持ち

 同じクラスに梨華ちゃんがいました。
 僕は梨華ちゃんのことが好きで、いつも遠くから見ていました。
 あるオカマが、だんだん梨華ちゃんと仲良くなっていきました。
 体育館で、梨華ちゃんの素晴らしいブルマ姿を眺めました。
 そこにオカマがやってきて、梨華ちゃんとじゃれあいました。
 教室で、オカマと梨華ちゃんがじゃれあっていて、梨華ちゃんが言いました。
 「ねえ、わたし、あの曲でね、こんなポーズするのよ。チュッっていうポーズするの」
 オカマが、「そうなの? どれどれ、もう一度やってみせて」
 梨華ちゃんが、「こんな感じだよ」と唇を突き出す。
 オカマが「ちゅ〜」と唇を近づける。
 梨華ちゃんはびっくりして、「ちょっと、やめてよ!」と言ったが、まんざらでもなさそうでした。
 オカマが、「えー、いいじゃんいいじゃん」
 「よくないわよ。まだ駄目なんだからね」と梨華ちゃんが言うと、僕の体が自動的に動いて、二人の前まで来ると、
 「ねえちょっと、どういうことなの。まだ駄目っていうのは、いったいどういうこと?」
 梨華ちゃんとオカマは驚いた顔をして僕を見ました。
 「あ、しまった」と思い、そそくさとその場を離れました。
 教室のすみに行くと、もうこれのスズキさんがいました。僕は言いました、
 「梨華ちゃんがこんなことを言っていたよ、キスはまだ駄目なんだって。でも、『まだ』っていうことは、そのうちOKってことですから、僕は絶望的な気持ちになりました」
 それを聞いたスズキさんも、絶望的な気持ちになったらしく、黒目がどんどん白くなりました。まわりにいた梨華しちゃの人、梨華がいれば!の人、ポジティブチャーミーの人、生活彩華的娘。雑記(読めない)の人、りかりんどっとこむの人たちも、黒目が白くなっていきました。

 スズキさんがそんな感じになるのは意外でした。だってあの人は梨華ちゃんを恋人にしたいとか、そういう種類のヲタではないと思っていたからです。梨華ちゃんが幸せになれば、それが俺の幸せだというタイプのヲタだとばかり思っていた。だって僕が梨華ちゃんと結婚したいんですと言ったら、「いいよ、結婚しなさい。ただ結婚式には呼んでね」とおおらかな笑みを浮かべたんだ。それなのに、梨華ちゃんのファーストキスくらいで、しかもまだ奪われていないのに、こんなに目が白くなってしまうとは。やはりスズキさんも本当のところは、梨華ちゃんと偕老同穴したいと願っているんだろうなあ。そりゃそうだよ。そうじゃなかったら、あんなに愛のこもった文章を何年も飽きずに馬鹿のように書き続けられるものじゃないよ。

 スズキさんたちは、何かの紙をそのへんにぶちまけると、獣のような叫び声を上げながら走り去りました。
 紙を見ると、それはテストの答案でした。96点、89点、92点、どれも高得点でした。