ふっち君の日記。

石川梨華ちゃんにガチ恋しているおじさんの記録

永遠の新婚生活

新妻のりかりん♪

 長兄の嫁が、さいきん悪妻っぷりをすごく発揮しており、それに憤慨した父が、
 「おいふっち、結婚なんかしなくていいぞ」と言った。
 そして同じくらい憤慨している母が、
 「そうよ、女はみんな猫かぶってるんだからね。騙されちゃダメよ」と言った。
 僕は従順に、「そうだね、結婚しないよ」と答えた。
 しかし内心では、「梨華ちゃん結婚しちゃうけどね。ごめんね。梨華ちゃんになら何されてもいいんだ。むしろ、尻にしかれたり、わけもなく引っぱたかれたりしたいよ」と思っていた。

 僕は自分の部屋に帰り、こたつに足を入れた。目をつむって、梨華ちゃんとの新婚生活を思い描いた。想像の世界で、一週間ほど梨華ちゃんといっしょに暮らしてみたが、尻にしかれることはなく、わけもなく殴られることもなかった。梨華ちゃんは、優しくて可愛い理想的な奥さんだなあ、と僕は思った。その時、メールの着信音がピロリン♪と鳴った。メールを確認しなければと思い、妄想の世界から抜け出そうと思ったが、出口がどこだったかを忘れてしまった。僕は梨華ちゃんに尋ねた。
 「ねえ、この世界の出口がどこだか、梨華ちゃんは知らない?」
 「出口? 玄関はあっちにあるでしょ。ふちりんボケちゃったの?」
 「いや、まだボケてはないと思うよ。うーん、出口がないとなると、どうやって帰ればいいんだろう」
 「いったいどこに帰るっていうのよ。ふちりんは今、自分の家にいるじゃないの」
 「まあ、そうなんだけどね。おかしいなあ、出口がないなんて」
 「出口のことより、今日の晩御飯のことについて考えましょうよ。何が食べたい?」
 梨華ちゃんはそう言って、夢のように可愛らしい微笑みを顔に浮かべた。
 ……よく考えたら、出口のことなんてどうでもいいな、と僕は思った。だって帰る必要がないもの。あらゆる夢が実現している理想的なこの世界から、どうして去る必要があるだろうか。僕はずっとここにいよう。出口のことは忘れて、晩御飯のことを考えよう。
 「そうだなあ、僕はカレーライスがいいな。梨華ちゃんは?」