梨華ちゃんは僕の蛍

 蛍のように佇んでいた深夜のコンビニに入った僕は、その光の源を見つけた。僕は梨華ちゃんが表を飾るスピリッツを買って家に帰る。「梨華ちゃん!」と言ってスピリッツを抱きすくめる。「好きだよ!」と言ってさらに強く抱いた。「いたいよふちりん!」という声が聞こえたような気がして、すぐに胸から離し「ごめんね……」と謝った。表梨華ちゃんはふわっとした可愛い髪型で、切なげな儚い表情をしている。胸元が少し開いた薄手の白いシャツを着ている。僕は胸の谷間を見る時間を、顔を見つめる時間より少なくしようとしたが、うまくいったかどうかはわからない。

 表をめくると、梨華ちゃんがあらわれた。ふちりんはおどろきとまどっている。でも梨華ちゃんは優しいからその隙に攻撃してくることはなかった。ちょっとHな水着を着てきらめく微笑みを浮かべているだけである。しかしその微笑みはふちりんのことを相当長いあいだおどろきとまどわせることになった。しばらくしていくぶん冷静さを取り戻した僕は、ページをぴらりとめくり、「あぁ!」という声を思わず出した。右のページには梨華ちゃんのかわいらしい絶品の後ろ姿があり、後ろから抱きしめたくてたまらない。左のページには梨華ちゃんのキュートきわまる原寸大のお顔があり、キスをしたすぎて死んでしまいそうだ。僕は死なないためにキスをした。「ちゅ、梨華ちゃん、好きだよ……」

 ページをめくると、タイにおける梨華ちゃんが一気に五人現われた。五人はちょっと多いなと思った。五人もちゃんと愛せるだろうか。いや、できる。梨華ちゃんのことは誰一人として不幸にさせない。すべての梨華ちゃんを最高級に愛することが、僕ならできるような気が、根拠はないけどした。「タイ、いいなあ。いつか、素敵な人と娘三人といっしょにここの夕日を見たいなあ。あ、私自身が三人姉妹なので、子供は絶対娘三人なんです(笑)。」と一人の梨華ちゃん吹き出しでしゃべっていた。それを受けて僕は梨華ちゃんに話しかけた。「僕、今は最低のろくでなしだけど、いつかはきっと素敵な人になるよ。一緒にタイのきれいな夕日を見ようね。梨華ちゃんは三姉妹だから子供は三姉妹がいいの? 僕は三兄弟だから子供は三兄弟がいいな。じゃあさ、男と女三人ずつ作ろうよ。そうすればお互いに不満はないよね。なんちゃって、冗談だよ。六人はちょっと大変だよね。僕の方は全く平気の平左衛門なんだけど、梨華ちゃんの体が心配だよ。三姉妹でいいよ。いや、三姉妹がいい。三姉妹じゃないとヤダ。梨華ちゃんと同意見だよ。1万年と2千年前からずっと同意見だよ。梨華ちゃんみたいな可愛い美しいお茶目な女の子が三人生まれたら、とっても素敵なことだね。そうしたら、家族みんなでタイ王国に行って、梨華ちゃんがもう一度見たいと言ったその燃える夕日を見よう。楽しみだなあ。いつごろになるかな。早ければ早いほど嬉しいな。でも、遅くなったって全然かまわないよ。その日を待つ楽しみが積み重なって大きな山になるだろうし、その日が来たときの喜びはきっとその巨大な山が噴火したかのようなとびきりのものになるだろうからね」

 ページをぴらりとめくると、五人だった梨華ちゃんは二人に減った。もう、梨華ちゃんたら、増えたり減ったりして、まるでドロップさんみたいなんだから。ドロップさんの物マネはやめて。それはちょっとお茶目すぎるよ! 右のページの梨華ちゃんはおしりがやっと隠れるくらいの長さの白いシャツを着ていて、綺麗な白い足があらわになっている。ポーズは、あの振り向き美人に似ている。しかし梨華ちゃんは振り向き美人より一億万倍くらい美人である。ため息である。左のページの梨華ちゃんを見てもやはりため息である。梨華ちゃん、生あたたかい感じの吐息を大量にあびせてしまい、ごめんなさい。でもハミガキしたばかりだから、そんなに臭くはなかったと思う。もしも臭かったら死にたい。左の梨華ちゃんは、おっぱいがすごく気になったけど、あまり見すぎると梨華ちゃんが恥ずかしがるだろう、嫌われてしまうかもしれない、と思い、謙虚な可愛い笑顔だけを見つめるよう努力した。だけど、おっぱいのことも結構たくさん見てしまい、ごめんなさい。僕はおっぱいが好きなんだ。「生採りおっぱいちゃん」を買ってしまうくらいだから、きっと相当に好きなんだと思う。それほどに好きなおっぱいの中でも、梨華ちゃんのおっぱいが最も好きなのだから、見ないようにしたにも関わらず結構ガン見してしまったことは、いたしかたないことのような気がする。梨華ちゃん、言いわけしちゃってごめんね。

 ページをぴらとめくると、幸の薄い感じのちょっと悲しそうな梨華ちゃんがいた。白い水着を身につけてベンチに座っている。「梨華ちゃん、元気だして!」と僕は言い、梨華ちゃんを抱きしめにかかったが、梨華ちゃんの中、僕はの外にいたので、じかに抱きしめることができない。「でもスピリッツを抱くことはできる」と言い、スピリッツを胸にかきいだいた。安物のの儚い香りが目にしみる。「梨華ちゃん、大丈夫だよ。僕がついているからね。だからそんな顔しないで。ねえ笑って。梨華ちゃん、大好きだよ……」そして僕は我慢できずにズボンとパンツを同時に脱いだ。