ふちりんとりかりんは縁側でひなたぼっこをしている。
小鳥がかわいい声でさえずる。
りかりんはそのさえずりに耳をすませる。
ふちりんはコップに注がれた発泡酒を丁寧に飲む。
「ぷはあ。おいしいなあ。やっぱり麒麟淡麗が一番好きだなあ」
りかりんは、庭に降りてきた小鳥を見つめながら、
「ふちりんたら、いくつになっても淡麗が好きなのね。なんて安上がりなお人かしら」
「うん、そうなんだ。僕はいつまでたっても安っぽい人間なんだよ。……ってコラー!」
「ふふふ。ふちりんたら、いくつになっても、コラーを使ったノリツッコミが好きなのね」
「へへへ。まあね」
庭を歩いていた黄緑色の小鳥がふわりと飛んで縁側に着地した。
「あら、小鳥さんが廊下に来たわよ」
りかりんは愛しげな目で小鳥を見つめる。
「あれ、梨華ちゃんって、鳥が嫌いじゃなかったっけ?」
「ふふふ、昔はそうだったけどね、今ではそんなことないわ。むしろ好きだわ」
「へえ。あんなに嫌いだったのにねえ。変われば変わるものだね」
小鳥はぴょんぴょんと歩き、りかりんの膝の上に乗った。
「あら、あら、どうしましょう」
「へへ、その小鳥、きっと梨華ちゃんのことが好きなんじゃよ」
りかりんは少し身を硬くしたが、鳥への眼差しは柔らかい。
「でもねえ、その小鳥よりも僕のほうがもっとも〜っと梨華ちゃんのことを好きじゃよ!」
小鳥は羽を目いっぱい動かして青空へ飛び去った。
「もう、ふちりんたら。びっくりして逃げてしまったじゃないの」
「ごめん。あのね、梨華ちゃん」
「なあに?」
「……好きじゃよ!」
まったくもう、と言って、りかりんは笑った。