僕は世の中に失望して、ベッドの上で仰向けで寝そべっていた。「はぁ……」と深いため息をつくと、右を向いて、右腕の力こぶのあたりに頭を乗せた。目を閉じる。それから、これと言った理由もなく、右手を頭の方へ持って行き、めっきり白髪の増えた頭を撫でた。するとどうだろう、その手はまるで誰か他人の手のように感じられた。驚いた僕は、試しに「これは梨華ちゃんの手だ」と強く念じてみた。するとどうだろう、その手はまるで梨華ちゃんの手のように感じられた。
「ああ、梨華ちゃん、なでなでしてくれるんだね、僕みたいな奴のことを。ありがとう。うれしいよ。涙が出てきてしまいそうだ……」
( ^▽^)<ふちりん、ヨシヨシ。ふちりんのそばにはいつも私がついているよ。だから恐いことなんて何もないし、さみしい思いなんてしなくていいんだよ。
「ぐすん。梨華ちゃん、ありがとう。優しいんだね。大好きだよ。ねえ、梨華ちゃんは僕のこと好き?」
( ^▽^)<うん、だ〜い好き。だってふちりんは一途で、優しくて、純粋で、かわいくて、私の事を心から愛してくれるもの。
「りかりん、うれしいよ、りかりん……ぐすん」
( ^▽^)<いいのよ。気のすむまで泣いていいのよ。私はふちりんが泣き止むのをいつまでも待っているからね。どこにも行ったりしないからね。
「ううっ、りかりん……りかりん……」
そう言って僕は、自分の頭を優しくなでなでしながら、眠ってしまうまで涙を流し続けたのだった。