その7

 今日は梨華ちゃんの舞台を観るのだし、梨華ちゃんのブログの最近のエントリーを読んでおこうと思い、「石川梨華」で検索してみました。すると、梨華ちゃんが処女を告白した、という旨のまとめサイトが上の方に出たので、私の筋肉に不自然な力が入り、リクライニングチェアが360度リクライニングしそうになりました。「知ってた。梨華ちゃんがいまだに処女なのは知ってたけど、マジかよ! 本人が言ったのかよ! うおー!」となり、気持ちが高揚していくのを感じました。でも実際のところは、生まれてこの方、彼氏ができたことがない、ということのようでした。それはそれでやはり、嬉しいような気持ちになりました。というのは、梨華ちゃんが処女じゃなくても気にしないココロの広い大人に将来的にはなるつもりだけど、今のところは、エグザイル的な男に抱かれてるところを想像するだけでも、不可避的にふみゅうとなってしまうからです。また、「梨華ちゃんに未だにスキャンダルが一つもないのは、ふちりんに惚れているからなのでは?」という説を、友人から一笑に付されながらも僕は地味に提唱していたのですが、その説が説得力を増すことになったな、と思いました。あと、関係者の見解として、「石川は風呂に1週間入らなかったりする汚ギャルだから、男が寄り付かないのではないか」というものがありました。そんなわけないじゃん。バカじゃないの。おまえ超バカ。梨華ちゃんクラスの美しすぎる女性だったら、1週間お風呂に入らないことくらい全く屁でもないでしょうよ大抵の男は。僕なら、梨華ちゃんが1ヶ月間お風呂に入らなくてもぜんぜんオッケ〜☆(ローラ風)だよ。僕が1週間お風呂に入らなくても怒られずにすむわけだし、いいじゃん。梨華ちゃんが寝てる間に、体中をペロペロして綺麗にすることだって僕は厭わないわけだし、まったく問題ない。

 そのまとめ記事を読んで大いに気をよくした私は、リクライニングソファーにゆったりと身を預け、少しの間、目をつむった。もちろん、繊細すぎる性質の私は眠れるはずもなかったが、クソみたいな乗り心地の夜行バスのおかげでアホほど疲れていたので、心と体を休める必要があったのだ。そして、まぶたの裏側の暗闇のなかで、そろそろ髭を剃る必要があることに思い当たった。そこで問題となったのが、いったいどこでこのクソ髭を剃るか、ということであった。こちらの漫喫のトイレットで私のクソ髭を剃らしていただこうかしら、と考え、トイレッツに行ってみたものの、そこは、持参した電動ヒゲ剃りをブイーンという音を出しながら使っていたら大いに目立ちそうなトイレッツであった。何度も言うけど、私は繊細な性質にできているので、化粧室でヒゲを剃るのはあきらめることにした。この漫喫に丁寧にも設置されているシャワー室を使うのはどうか、と考えた。そこでシャワーを浴びるついでに、髭を剃るのである。300円くらいかかるが、一石二鳥であり、よさそうであった。しかしシャワー室に空きがあるとは限らないし、3時間パックの終了時間もすぐそこまで迫っていた。僕は漫画喫茶で髭を剃ることを断念した。

 モテキの主人公をややモテなくした感じの受付の兄ちゃん(すみません)にお金を支払い、外に出ると、きれいな水色が空に広がっていた。太陽が顔を出しており、少しく暖かくなっていた。私は春っぽい陽気に包まれて気分が良くなった。でもまったく眠っていないし、疲れていたので、プラスマイナスゼロといったところだった。とりあえずこのクソみたいな髭を剃らなければならなかった。このみっともない髭面を晒しながら、歴史ある舞台『細雪』を観にいくわけにはいかなかった。それは人間として恥ずかしいことだし、梨華ちゃんファンの印象が悪くなるようなことはしたくなかった。梨華ちゃんの悲しむ顔は見たくない。梨華ちゃんが誇りに思えるようなファンに私はなりたいんだ。そんな立派なことを言えるような日記を書いてきたとは到底言えやしないのに、そんなことを思ってしまいました。すみません。今後はもっと立派な日記、モーヲタテキサイ大手みたいな日記を書いたり、自作の暖簾をプレゼントして梨華ちゃんのブログにその画像が載ったりする、梨華ちゃんが誇れるようなファンになりたいです。とは言え、オナニーのこととかは書くかもしれなくて、ていうか書くんだけど、それはやむにやまれずというか、書かなければならないという気持ちがあります。そこを避けて日記を書いても、真実の何かには辿りつけないだろう、そういう直感があるのです。でも、もし梨華ちゃんに怒られるようなことがあったら、すぐに訂正したり消去したりして、頭を3分刈りに丸め、謝罪と反省の日記を1ヶ月にわたって書きつづけますし、梨華ちゃんの家にゴキブリが出たらたとえ深夜でも無言でかけつけて無言で退治し、無言で引き上げます。