ふっち君の日記。

石川梨華ちゃんにガチ恋しているおじさんの記録

その25 謎のおっさん

 やめへんで〜! ふちりんバスツアー日記やめへんで〜! ふみゅう。はてなダイアリーの有料会員になっているのだから、先払いで1年分くらいお金を払っているのだから、やめることは、お金をドブに捨てるようなものです。だからやめへんで〜。でもやめない理由はそれだけじゃないよ。もしそれだけだったら、ただ金のためにしぶしぶ日記を書くということになるじゃないか。そうじゃなくて、僕はお金を払ってまで残しておきたい大事な思い出があるのです。これを僕の中だけで留めておいたら、僕が死んだ場合に全てが無へと帰してしまうかもしれないので、インターネットに刻み付けておこうと思いました。でもよく考えたら、僕が死ぬのよりもはてなダイアリー社が潰れる方が早いのでは?という気もします。潰れないでください。

 ライブの5曲目が終わり、梨華ちゃんは「今回のバスツアーでもグループトークをやっちゃいます!」と叫んだ。グループトークとは、梨華ちゃんと6人くらいのヲタが一つのテーブルを囲んで3分間おしゃべりをするというイベントである。前回の沖縄FCツアーでそれが行われたという話を、同室のヲタたちからすでに聞いていたし、今回もやるかも、とみんな言っていたので、僕はそんなに驚かなかったが、じわじわと胸が熱くなってきた。梨華ちゃんと一つのテーブルについてお話するなんて、まるで夢みたいだ、そんなのまるで友だちみたいだ、と思った。でも実際のところはお金を払ってるからそういうことができるだけなんだよな、とも思い、ふみゅうとなった。

 そしてなんか大きなボードが謎のおっさんとともに出てきた。そのおっさんは何かを説明する係であるようだった。このおっさんはどういう因果で梨華ちゃんのバスツアーで何かを説明する係に就任することになったのか、考えれば考えるほど不思議だった。

 僕は6万以上の金を出してここに客として存在しているが、そのおっさんは梨華ちゃんの仲間として、僕らよりインチメートな関係として、しかもお金をもらいながら、そこに存在している。何かがおかしいような気がする。ものすごく理不尽なような気がする。しかもあのおっさんはこのライブイベントが終わった後、打ち上げに参加するかもしれない。おつかれウサギ〜!などと言って浮かれながら梨華ちゃんと酒を飲むかもしれない。その上、梨華ちゃんにお酌さえされるかもしれないじゃないか。ふざけないで頂きたい。僕は3分間のテーブルトークしかできないのに、このおっさんは何時間のテーブルトークが許されるというのか。3時間だろうか。ふざけないで頂きたい。このおっさんはどれだけの良いことを前世や今世で行ったというのか。そして僕がどれだけの悪事を前世や今世で働いたというのか。そんなに悪いことはしていないつもりだぞ。財布を拾ったらちゃんと届けているぞ。そのわりには僕が落とした財布は戻ってくることがないぞ。そして、あのおっさんがこんな僥倖に浴することができるほど良い行いをしてきたようにはとても見えない。ただのおっさんじゃん。それなのに今ここで発生している、今後発生するだろう立場の差はいったいなんなのか。理不尽じゃないか。
 そんなことを思いつつ、僕はおっさんを見たり、梨華ちゃんを見たりした。もちろん梨華ちゃんの方をたくさん見た。おっさんを見ていると理不尽にさいなまれるからあまり見ないように心がけた。梨華ちゃんを見ていたら理不尽が生じないかというとそうでもないのだが、おっさんのことを思ったり、梨華ちゃんと僕の距離感を思ったりして、理不尽というか切なさというか、そういうのものがココロに来るのだが、やっぱり梨華ちゃんを見ていると同時的にココロがぽかぽかするし、ふわふわする。「梨華ちゃん!」ってなります。そうなるから、理不尽やら切なさがあんまり気にならなくなる。でもおっさんが、何かの文字が書かれた巨大なボードの脇に立って何やら説明し始めるので、どうしてもおっさんを見てしまい、おっさんが梨華ちゃんにお酌されてデレついている様子が想像せられ、ムキーッ! 理不尽! 人生とは?ってなって辛かった。
 でもこのような辛さでいちいち挫けていたらアイドルを追いかけることはできない。あまりにナイーブでいてはこの道を歩きながら死んでしまう。僕が死んだら梨華ちゃんはきっと悲しむし、バスツアー代をポーンと出すマジヲタが一人減り、間接的に梨華ちゃんの収入が減る。誰も得しない。だから僕は死なない。梨華ちゃんが生きている以上、僕も強く生きる。一緒に歳を重ねていくのだ。その道のりはお互い全く違っていて、交わることはないかもしれない。でもいつか交わるかもしれない。そのときには、「やあ」なんて言って、「色々あったね」なんて言いながらどこかのバーで一緒に白ワインを飲みたい。
 そんなことを思いながら、僕はステージの上にそそり立つ巨大なボードの文字列を見つめた。