その26 グループトークのお題

 ステージの上にそそり立つ巨大なボードには、以下の6つの文章が記されていた。

 1、フットサルの魅力について聞いてみたい。
 2、石川梨華のファッションについてディスカッションしてみたい。
 3、石川梨華の癖について話してみよう。
 4、阪神タイガースファンではないが、タイガースの良さを聞いてみたい。
 5、ワールドワイドな石川梨華に、旅で起こった超最悪なアクシデントを聞いてみたい。
 6、実は…。
 7、○カップについて。

 我々はグループトークというスペシャルなイベントで、6人くらいのグループに別れ、各々がこの7つのお題から一つを選び、それについて梨華ちゃんと語り合うことになるようであった。巨大なボードの脇に立っている司会役的なおっさんに促され、梨華ちゃんは一つ一つのお題について丁寧に説明していった。
 5番目の、旅先での超最悪なアクシデント、について梨華ちゃんは、「これはここだけの話にしますので、他の人に話したり、インターネットに書いたりしないでください」みたいなことを言っていた。僕はそれを聞いてすぐに、「じゃあ5番はなしだな。5番は僕は選びたくないな。なぜなら、僕はこのバスツアーで起こったことをできる限りインターネットに公開したいから」と考えた。
 6番の「実は…。」というテーマは、「実は私、つんくさんと不倫してるんです」みたいな打ち明け話を梨華ちゃんがするというやつらしかった(不倫してません)。これこそ他言は一切無用な話になってくるんじゃないかと思ったのだが、梨華ちゃんも司会的なおっさんも「インターネットに書いたりしないでください」とは言わなかった。言わなかったような気がする。5番ですら他言無用、インターネット無用なのであるから、さらに秘密の香りがする6番は言うまでもないだろう、わかるでしょ? ということなのかもしれないが、僕はバスツアーの出来事をできるだけ詳細にインターネットに書きたいという強い気持ちがあったため、「6番については他言無用って明言しなかったから、6番の内容についてはインターネットに書いていいんだな。うむ。そういうことにしよう」と考えた。
 7番の「○カップについて」というお題を梨華ちゃんが読み上げたとき、会場の客席から、「フ〜!」という煽るような裏声がわき起こった。
 あ、これは○カップという文字列から、ヲタがいやらしいことを連想しているのだな。いやらしいなあ。心の中で連想するだけならまだしも、「フ〜!」とか、しかも裏声で叫ぶなんて、いやらしいにもほどがあるなあ。ある種のセクハラなのでは?
 そう思いながら梨華ちゃんの反応を窺っていると、梨華ちゃんは呆れたように「バストサイズ? 言ってもいいけどさあ」と言い、それを聞いたヲタたちはさらに盛り上がった。僕はみんなのことをいやらしい人たちだ、エロい人たちだ、ある種のセクシュアルハラスメントだ、と軽蔑しながらも、「梨華ちゃんのバストサイズを聞けるものならぜひ聞きたい。できればこの場で教えてほしい」と思い、わくわくしながら梨華ちゃんの次の言葉を待った。梨華ちゃんはしばし何事か考える様子を見せ、「ウソだよ、言わないよ〜」とやや呆れ顔で言った。ヲタたちは一斉に、非常に遺憾である、という気持ちのこもった溜息をついた。梨華ちゃんは普段から性的な話は一切しないからバストサイズなんか絶対に言うはずがない、と僕は予想していたが、できれば知っておきたいという気持ちがあったので、「フ〜!」と盛り上がったのち大きな溜息をついたみんなほどではないものの、がっかりした。僕の家に遊びに来て梨華ちゃんの写真集を見た友人が、梨華ちゃんのバストについて、「これ絶対Eカップはあるよ!」と自信満々に語っていたことを思い出した。僕もEくらいあるように思えたが、「そんなにないよ、Dくらいだよ」となぜか小さめの主張をしたのだった。