ふっち君の日記。

石川梨華ちゃんにガチ恋しているおじさんの記録

石川梨華カジュアルディナーショー〜It's a RIKA time vol.5〜日記その4

 ウーロン茶をちびちびとしか飲んでいなかった僕ですが、若干の尿意を感じましたので、おもむろに立ち上がり、お手洗いへ向かいました。テーブルの間を縫って進んでいると、前方から見覚えのあるヲタが歩いてきました。梨華ちゃん現場おまいつ(お前いつもいるな、の略)であり、八ヶ岳バスツアーの時に一緒にグループ写真を撮った人でした。僕は挨拶をするべきか迷いましたが、会釈するに留め、その人のために脇に寄って道を空けました。トイレに入ると、個室があいていたので、「これは勝つる!」となりました。「勝つる」というのは、「勝てる」を意味するネットスラングです。使っているとバカっぽいからあまり使わないほうがいいのですが、その時の僕はあえてバカっぽい言葉を思い浮かべることによって、緊張した心をほぐそうとしたわけです。心を整える、という作業の一環として。ではなぜ僕は「勝つる」と思ったのか。個室の方が残尿の処理がしやすいからです。うんこをしてると見せかけてゆっくりじっくり残尿を絞り出すことができます。小便用の便器ですと、異常なほど長いおしっこをしている奇妙な人、膀胱が病的な人というレッテルを貼られる恐れがあります。僕はそういう目立ち方はしたくないですし、そのレッテルを恐れるあまり、残尿の絞り出しが中途半端になり、徐々に漏れてきた残尿でズボンがしっとり濡れてしまう、という悲しい事態に陥ったことが何度もあります。個室を合わせてもトイレが3個しかなくて客も100人くらいいる中、個室が空いているというのは奇跡に近いことと言えます。ゆえに、これは運も向いてきているぞ、勝つる、と思ったわけです。今日はきっとやることなすこと上手くいくだろう、と。トイレのを見ると、そこにはいつもよりだいぶシュッとしたふちりんが立っていました。なぜシュッとしているのか。美容室に行って髪を切ったためです。いつもは主に1000円床屋に行って髪の毛をホースで吸われているのですが、生まれてはじめて美容室に行ったのです。梨華ちゃんの前で恰好をつけたかったからです。僕は、1000円床屋で、頭を掃除機のホースみたいなやつでグオーッと吸われてこそ男だ!というバンカラなことを主張し、長いこと頭をホースで吸われ続けていました。しかし、梨華ちゃんの前で恰好をつけたい、というだけの理由であっさりと美容室などという軟弱な室に行ってしまったので、僕は好きな女のためなら簡単に信念を曲げる男だ、ということがわかりました。梨華ちゃんに「子供のおしめを替えてくれる?」と頼まれたら喜んでおしめを替えることだろう。美容室で洗髪する際、僕は仰向けに寝かされ、首を後ろに傾けました。すると首がだんだん痛くなってきて、死の予感が黒い光のようにちらちらと現れました。でも僕は、長谷部選手の『心を整える』を熟読して心が整っていたため、その死の予感を冷静な心で受け止めることができ、美容師さんに痛みを訴えることもせず、死が訪れるのを粛々と待ちました。もしここで首が折れて死んだら、梨華ちゃんディナーショーは天国から見守ることにしよう。天国の住人ならきっと自由自在に会場を漂うことができるだろう。そこには最前も最後列もなく、ゼロズレ(梨華ちゃんの立ち位置の正面の席に座ること)も柱の陰もない。認識レスもなければ、お金の問題も残尿感もない。透明になった僕はただ梨華ちゃんの存在だけを意識し、梨華ちゃんを好きという自分の心に純粋に身をゆだねることができるだろう。でも僕は死にませんでした。首はやや痛かったが、その痛みは、天国の存在とともに、ゆっくりと僕のもとから去っていきました。僕はやはり、幸か不幸か、生きて、梨華ちゃんと向き合わなくてはならないようでした。美容師さんは、魔法のような手つきで髪の毛をいじくりまわし、僕の頭をモヒカンのような形に仕上げました。その形はしかし、ディナーショー当日に自分の手で再現することができませんでした。当日は、モヒカンは難しそうなので無造作ヘアーを目指したのですが、僕の白髪まじりの髪には生気というものが感じられず、ほとんど死んでいるみたいだったから、出来あがった無造作ヘアーは、枯れた植物が色んな方向に横たわっている日陰の駐車場の隅を連想させました。