石川梨華カジュアルディナーショー〜It's a RIKA time vol.5〜日記その7

 そして会場の音楽が止み、照明が落ち、音楽隊が奥のカーテンをひらりと抜けて現れ、それぞれの楽器に寄り添いました。少し遅れて梨華ちゃんが現れました。赤いワンピースを身にまとった梨華ちゃんは、赤ワインの妖精みたいに見えました。ポニーテールを陽気に揺らして歩き、前髪はまるで16歳のように短く、キュートです。一瞬の静寂ののち、梨華ちゃんは「なんてったってアイドル」をゆっくりと丁寧に歌い始めました。そのとき僕は、梨華ちゃんはアイドルをやるつもりだ。と感じました。1曲目にこれを持ってきたこともあり、「私はこれからもアイドルとしてやっていくの」という強い意志がひしひしと伝わってきました。昔アイドルだった人がこういうアイドル曲を歌い、「私は今でもアイドルよ!」みたいなことをおちゃらけた感じで言って、周りのしょうもないタレントに「おいおい!年齢を考えろよ!無理しちゃって!」と突っ込まれる、という茶番がよくありますが、梨華ちゃんの場合はそんな茶番は成立しないし、そんな茶番を押し付けられたら梨華ちゃんも心外にちがいありません。梨華ちゃんは伊達や酔狂でアイドルをやってきたわけじゃないし、今もきっと真剣にアイドルをやっているはずだからです。梨華ちゃんには未だに男関係のスキャンダルは発生していません。梨華ちゃんは今までずっと、それこそ清く正しく美しく、誰にも恥じるところなくアイドルを務めてきました。そんな梨華ちゃんに対して、僕はもう何もわがままなんて言えない。ありがとうという気持ちしかない。今もし梨華ちゃんに恋人ができても、裏切られた!なんて口が裂けても言えませんし、言っていいわけがない。だって梨華ちゃんは、もう十分すぎるほど、僕らの信頼に答えてくれたし、かけがえのない幸福を与えてくれました。何があっても、梨華ちゃんは誰にも責められる筋合いはない。僕らを幸せにしてくれた分だけ幸せにならないといけない。だけど、それでも梨華ちゃんがまだまだアイドルを続けると言うのなら、僕もそんな梨華ちゃんに負けず、清く正しく美しいヲタであり続けようと思います。

 その後、セクシーオトナジャンの「オンナ、哀しい、オトナ」という珠玉のバラードがしっとりと歌われました。それを聴いていて、今日の梨華ちゃんはとても声の調子が良いなあ、と思いました。梨華ちゃんの独特なウィスパーボイスが、いつにも増して繊細な響きで僕の鼓膜をくすぐってきました。梨華ちゃんは歌が下手、というイメージが世間には染みついていますが、こういう繊細なバラードを梨華ちゃんに歌わせたら右に出る者はいない、とまでは言わないけど、非常に深い味わいがあります。ショーの中盤で歌われた、浜崎あゆみの「teddy bear」という熊に関する歌もバラードだったのですが、非常によかった。静かな夜のベッドの上で梨華ちゃんが耳元に囁いているかのような気持ちになり、えも言われぬ幸福感に包まれました。梨華ちゃんの隣にエグザイル風の男が鼻持ちならない体勢で寝そべっている映像が浮かび、えも言われぬ黒い切なさが、心の片隅にある暗い小さな穴から湧き出してくる、ということもありましたが、長谷部選手による心の整いと、えも言われぬ幸福感がタッグを組み、その黒い切なさは速やかに追いやられ、もとの暗い小さな穴の中に撤退していきました。