舞台「だいこん」観劇日記その4 往復ビンタ

 観劇が終わった後、心がどん底に落ちているのを感じながら、名古屋駅前でメイドカフェを探しました。以前、「細雪」の観劇に来た時よりも萌え店が増えており、ワクワクしましたし、どの店に入るか迷いました。結局、「らぶり〜べる」というお店に入りました。出迎えてくれたのは、かおるという源氏名メイドさんでした。そのメイドさんは、酔っぱらってるんじゃないかってくらい明るく元気で、よくしゃべりました。超ハイなテンションでたくさん絡んでくれたので、僕はかおるちゃんを好きになりそうになり、危なかったです。失恋した時に優しくされて好きになるやつだ!と思いました。

 僕は禁酒中で素面なのに謎のコミュ力を発揮し、初対面のお兄さん2人と仲良くなりました。メイドさんも含めた4人でジェンガ黒ひげ危機一発をして盛り上がりました。
 そのメイドカフェのメニューには「ビンタ」「往復ビンタ」なるものがありました。そこで、じゃんけんをして負けた者が「往復ビンタ」を注文することになりました。初対面のお兄さん2人と僕はじゃんけんをし、僕が負けました。約束通り、僕は「往復ビンタ」を注文しました。
 ビンタをしてくれるのはかおるちゃんです。初対面の僕にも優しく接してくれていたかおるちゃんは、ビンタする際、すごく申し訳なさそうにしていました。僕も申し訳ない気持ちになりましたが、心の傷を忘れたかったので、「強めにお願いします」と頼み、自らメガネを外しました。かおるちゃんは、おどおどしながらも、強めに往復ビンタしてくれました。手の甲は使われず、右の手のひらと左の手のひらが順に使われました。これが名古屋式なのかな、と思いました。僕はビンタされた後、「気持ちよかったです!」や「なんも言えねー!」とでも言えば丸く収まるところ、中途半端なリアクションをしてしまったため、ちょっと変な空気になりました。
 僕はその後もスイーツを頼んだりしてねばり、閉店時間でお店を出ました。お兄さん2人とは、「僕ホテルこっちなんで!」と言って別れました。

 東横インに向かって夜道を歩きながら、どん底に落ちていたはずの僕の心は、楽しいを感じていました。また、さっきも言ったように、かおるちゃんを好きになりかけていて、かおるちゃんの明るすぎる色んな姿が入れ替わり立ち替わり脳裡に浮かんで来ました。