『OLですが、キャバ嬢はじめました』第4話(最終回)

 今、僕は語ろうと思う。キャバクラの思い出を。

 ある日、キャバ嬢の子(A子ちゃん)に、僕と梨華ちゃんの2ショット写真を見せびらかしながら、「梨華ちゃんに恋をしているんです」と告げました。そしたらA子ちゃんは、「私も山Pとか好きですけど、芸能と現実の区別はしっかりつけていますよ。山Pを好きでいながら、彼氏をつくったりしました。ふちりんさんも、芸能と現実の区別をちゃんとした方がいいですよ」と言いました。「僕だって芸能と現実の区別はついているつもりだけど、恋って、そういう区別なんか飛び越えちゃうものじゃないの?」と反論したような気もするし、しなかったような気もします。かなり酔っぱらっていたのでよく覚えていません。

 ある日、キャバ嬢の子(B子ちゃん)に、僕と梨華ちゃんの2ショット写真を見せびらかしながら、「梨華ちゃんに恋をしているんですけど、こないだ熱愛報道があったんです…」と話しました。そしたらB子ちゃんは静かに優しく、僕の切ない話を聞いてくれました。ときおり腕時計を見たり、財布を出して持ち金を確認したりしつつ、「時間だいじょうぶかなあ。あんまりお金ないんだ」と言うと、B子ちゃんはドリンクをねだったりせずに、僕用の焼酎(飲み放題)をこっそり自分のグラスに入れて水割りをつくり、「内緒だよ。怒られちゃうから」と囁き、乾杯してくれました。何の躊躇もなくドリンクをねだってきて、すぐに飲み干し、「そろそろ時間なので失礼しまーす」と去っていくキャバ嬢が多い中、こんな心優しいキャバ嬢がいるなんて!と感動しました。よく見たら、照明が暗いせいかもしれないけれど、B子ちゃんは梨華ちゃんに似ているような気がしました。僕はだんだん、梨華ちゃんと一緒に飲んでいるような気持ちになり、持ち金が尽きるまでB子ちゃんを指名・延長しつづけました。お店を出たら、青空が見え、朝日がまぶしかった。それでふと我に返って財布を見たら空っぽになっていたので、ボッたくられた!と思いました。でも酔いが覚めた後、冷静に計算してみたところ、支払ったのはキャバクラとして適正な金額だった。ただ僕がB子ちゃんを指名して延長しつづけたために、高くなっただけでした。

 ある日、午前5時までアフィリア大宮店*1で飲んだ後、酔ったいきおいで朝キャバに行ってしまいました。客引きの人に「4000円ぽっきり!」と言われたので、つい。3人目くらいに付いてくれたキャバ嬢の子(C子ちゃん)が、とても疲れている様子でした。「今日は夕方からずっとここにいるの」と言う。僕がまったり飲んでいたら、C子ちゃんは眠くなってしまったようで(僕はよく人を眠くさせる)、目がとろんとしてきた。僕は紳士なところを見せようと考え、「眠そうだね。眠いの? 寝ててもいいよ」と言ったら、C子ちゃんは本当に眠ってしまいました。僕は、隣ですやすや眠るC子ちゃんを横目で見ながら、静かに焼酎の水割りを飲みました。「初対面の子としゃべるのも楽じゃないし、たまにはこういうのもいいな」と思った。そしたら、僕らのテーブルを通りかかったボーイさんが、C子ちゃんが寝ているのを発見して、ちょっと叱りました。C子ちゃんは「怒られちゃった!」と舌を出し、ボーイさんに呼ばれて向こうに行ってしまった。僕の隣で寝たことで、彼女の体力が少しでも回復していたらいいな、と思いました。



 『OLですが、キャバ嬢はじめました』の第4話(最終回)が始まりました。梨華ちゃんの背中が見えます。そのきれいな背中がアップになった時、モーニング娘。研究会*2のゆう君*3の結婚式での新婦さん*4のことを思い出しました。これと同じような感じで背中を出していた。僕は、梨華ちゃんの新婦姿を思い浮かべてしまい、つらい気持ちになりました。昔は、梨華ちゃんが自分のお嫁さんになる妄想もわりとやり易かったけど、今では、そんな妄想をする余地はほとんどありません。梨華ちゃんにはもうすぐ結婚しそうなカレピッピがいるからです*5。妄想すればするほど、つらい気持ちが心の中に充満していきます。倉持明日香ちゃんが、「お客さんに対する営業がつらい」という主旨の愚痴をこぼすと、梨華ちゃんは凛とした表情で、「お客さまに接するほど、成長できるはずよ」とたしなめました。梨華ちゃんもそうなのだろうか。ふちりんに接するほど、成長できるのだろうか。ただ心が蝕まれていくだけのような気がします。僕は梨華ちゃんに接するほど、ガチ恋おじさんとして成長できていると感じています。それが良いことなのか、悪いことなのかは分からないけれど。

 倉持明日香ちゃんは「金のためだけじゃなく、この仕事を続けたいと思えるようになった」という主旨のことを、同僚のキャバ嬢に告げる。それを背中で聞いていた梨華ちゃんは、鏡を見ながら嬉しそうに微笑む。かわいい。




 倉持明日香ちゃんは、指名してくれたお客さんを見送るとき、会釈して手を振った。それを見ていた梨華ちゃんは、血相を変えて駆け寄ってきて、「なんなのよ今の礼は!」と厳しく叱りました。もっと深々お礼をしないといけない、ということらしい。確かに梨華ちゃんは、コンサートの時とかに、メンバーの中で一番深いと言ってもいいくらいのお辞儀をする。膝に額がつきそうなくらい深い。僕はそんな梨華ちゃんの姿を見るたびに、「礼儀正しい人なんだなあ」と思って、ますます好きになります。しかし、実際のキャバ嬢の子がそんなに深々と礼をするところは見たことがない。僕が行ったことがあるキャバクラが安キャバばかりで、梨華ちゃんのところは高級キャバクラなのだろうか。そこがどんなに高級なキャバクラだろうと、梨華ちゃんがいるなら、僕は通い続けます。サラ金に手を出してでも。梨華ちゃんのお小言に、殊勝な態度で耳を傾ける倉持明日香ちゃん。45度のお辞儀をして、「はい、これから気を付けます!」と真剣な表情で言う。梨華ちゃんは、厳しさと温かさと安堵の混じったような表情で2〜3回小さくうなずく。すると店の奥の方から、酔っ払い客の大きな怒声が聞こえてくる。梨華ちゃんは慌ててそちらへ向かう。


 「ちょっと飲み過ぎじゃないですか?」と丁寧に声をかけながら、酔客のとなりに座る。そのとき、梨華ちゃんが前かがみになり、梨華ちゃんの豊満な胸が白いドレスからこぼれそうになる。僕の目は梨華ちゃんの胸の谷間に釘づけになった。ここでまたしても僕は、一時停止をしたり、スロー再生をしたりして、どのタイミングで最も乳房がこぼれそうになっているかを調べた。そのタイミングの梨華ちゃんの写真を撮影して、ここにアップしようかとも考えたが*6、やはりそれはあまりに下品すぎるので思いとどまりました。



 酔客は、「外に行って飲もう」と誘う。「まだ来たばっかりじゃないですか」と梨華ちゃんは渋い顔をする。「客の言うこと聞けないの? いつも外でもサービスしてんだろ?」と酔客が偉そうに言うと、梨華ちゃんはとても悲しそうな顔をした。ドラマの中の出来事なのに、僕は真剣に腹を立てて「梨華ちゃんを悲しませやがって! ぶち殺すぞてめえ!」と、ついテレビに向かって悪態をついてしまいました。「でも、もしかしたら、僕が梨華ちゃんガチ恋をしすぎていることによって、梨華ちゃんは悲しんでいるのかもしれない」という考えが浮かび、「死ぬべきなのはむしろ僕の方かもしれないな…。生まれてすみません…」と思いました。
 梨華ちゃんは嘲笑のように笑って溜め息をつき、「いつでもどこでもサービスするほど、キャバ嬢はおバカじゃないんですよ」と言い聞かせる。酔客は大の大人なのに、すねたような顔をしてそっぽを向く。「まずは、お店でサービスします」と梨華ちゃんは爽やかな笑顔で言う。そしたら酔客はものすごくいやらしい顔になり、「へ〜、じゃあまずはお店で、サービスしてもらおっかな〜」と言い、その汚らしい左手を梨華ちゃんの美しい左乳房にゆっくりと近づけていく。梨華ちゃんは笑顔のままでその手を取り、「サービスしてほしいなら、私を惚れさせてくれないと!」と言って、笑顔のレベルをさらに3段階くらいアップさせる。「次は指名してくれますよね?」。それを聞いた僕は、「うおー! 梨華ちゃん! するするするー! 絶対するー!」となりました。



 少し距離をおいて梨華ちゃんの様子を眺めていた店長は、悲しそうな顔でため息をついて、「店内恋愛禁止じゃなければなあ…。店長卒業しようかなあ…」とつぶやき、画面外に去っていった。店長の梨華ちゃんへの恋は、もっとドロドロした展開になるかと思いきや、ひどくあっさり終わったので笑いました。同時に安心しました。キャバ嬢のドラマなのに、梨華ちゃんはキスシーンもセクハラシーンもなく、むしろ格好いいシーンばかりだったから、「梨華ちゃんは所属事務所から、すごく大事に扱われているなあ」と感じました。今後もこの調子でよろしくお願いします。



 待機室で、梨華ちゃん倉持明日香ちゃんが2人きりになる。倉持明日香ちゃんは、キャバ嬢に悪いイメージを持っているお客さんのことを、どうしても気にしてしまうらしい。「私たちは何も悪いことしてないんだから、堂々としてればいいじゃない」と梨華ちゃんは、眉間にしわを寄せて言う。僕は、梨華ちゃんの隣に座って、その眉間のしわを人差し指でチョンってするところを想像する。もし僕が梨華ちゃんの彼氏だったら、梨華ちゃんが眉間にしわを寄せるたびに、「あ、ちょっとストップ。その表情で止まって!」と言う。そして眉間のしわを人差し指でチョンってして、「梨華ちゃんの眉間のしわ、だーい好きなんだ!」と告げる。できれば、眉間のしわにキスもしたいです。このことは、こないだも書いたかもしれませんが。大事なことなので何度でも書きます。
 「姫乃さん(梨華ちゃん)は、私のあこがれなんです。姫乃さんは私のこと好きじゃないと思いますけど…」と倉持明日香ちゃんは言う。梨華ちゃんがしばしば明日香ちゃんにお説教をしていたので、自分は嫌われているものと思い込んでいたのだろう。梨華ちゃんは不思議そうな顔をしたのち、楽し気に笑い出す。昔の自分を見ているようで、倉持明日香ちゃんにはつい厳しくしてしまう、店に入ったばかりの頃、私もジャガイモとか呼ばれていた、と告白する。梨華ちゃんはどこか遠くを見つめながら、感慨深そうに微笑み、「あの時は大変だったな〜」と述懐する。僕もいつか、「あの時は大変だったな〜」と微笑みながら、梨華ちゃんへのガチ恋を思い出すことができたらいいな、と思いました。


OLですが、キャバ嬢はじめました (コミックエッセイの森)
↑このドラマの原作漫画です。

*1:魔女っ子バー

*2:僕が所属していた早稲田大学のサークル。

*3:僕の後輩で、矢口ヲタだった。

*4:アイドル級の美人。

*5:ただ、すでに別れている可能性もあります。

*6:ここにアップしているドラマ画像は、全て携帯のカメラで撮影したものです。