その56 テーマトーク

 梨華ちゃんがある程度、ヲタの短冊に書かれている願いを叶えると、次のコーナーに移りました。七夕っぽいシールがいくつか貼られたホワイトボードが出てきました。梨華ちゃんがシールを剥がすと、トークテーマが現れ、それについて話していきました。梨華ちゃんがどんな順番でどういう話をしたかは、あまり覚えていません。なにしろ4年3か月も前のことなので。しかし断片的には覚えている。まず、梨華ちゃんはそのとき流行っていたスギちゃんの「ワイルドだろ〜?」を連発し、ある種の失笑を買っていました。ある種の失笑を買っている梨華ちゃんもかわいかったですし、ややウケでしかない「ワイルドだろ〜」を連発している姿は、まさにワイルドでした。精神が強いなあ、と思いました。

 あと梨華ちゃんトーク中、やたら自分がおっさんであることをアピールしました。寝る前に1本缶ビールを飲んだりするところがおっさんでしょ?みたいな話だったと記憶しています。梨華ちゃんのヲタがおっさんばかりだから、気をつかってくれていたのかもしれない。「僕もおっさんだから、おっさん同志、気が合いそうだね。よし、飲みに行こう!」という気持ちになりました。

 「ファン」というお題のときだったと思うけど、梨華ちゃんは、「ブログのコメントを全部読み、心の励みにしている」という主旨のことを言っていました。梨華ちゃんのご両親もコメント欄を読んでいるとのこと。「じゃあ僕のコメントも梨華ちゃんのご両親に読まれているのか! どうしよう! 恥ずかしい! でも、もし梨華ちゃんの実家に挨拶にいくことになったら、『ああ、きみがあのふちりん君か。よくコメント欄で読んでいたよ。なかなか面白いコメントを書くよね』となり、会話が弾むかもしれない」と思いました。

 梨華ちゃんのファンと言えば、AKB48ゆきりんもそうなんだけど、バスツアーの参加者の中にゆきりんの姿はありませんでした。「ゆきりん梨華ちゃん愛はその程度だったのか…」と思いました。実は僕、ゆきりんと握手をしたことがあります。個別握手会で7秒間。「僕も石川梨華ちゃんのファンなんです」と告げると、ゆきりんは目を大きく見開き、「美勇伝…!」と言いました。「一緒に応援していこうね!」と言いながら、僕は係りの者によって流されました。流されていく僕を、ゆきりんは目を大きく見開いたまま、黙って見つめていました。