その64(終) バスが東京駅に着き、家に帰る

 バスはとうとう終点の東京駅に着きました。後ろの方の席のヲタたちが、みんなとハイタッチをしながら通路を歩いてきます。「僕にもハイタッチしてくれるだろうか?」と不安になる。でも、彼らの顔はそっぽを向いていたけれど、僕にもハイタッチしてくれました。僕の差し出した右手は無駄にはならなかった。

 バスから降りた後、友人のミズちゃん(男性ミュージシャン)を飲みに誘ったか、誘われたかして、池袋駅西口の公園で飲むことになりました。ベンチ的なものに腰かけて2人で飲んでいると、80歳くらいと思われる杖をついた爺さんが話しかけてきたので、しばらくお話しました。「君かわいいねえ。家に泊まっていきなよ。俺はまだ元気だし、男もいけるから」と言われ、「僕ってやはり男色家にモテるんだなあ」と思った。やんわり断りました。さらにその爺さんは僕に向かって、「君は優しすぎるんだよ!」と言いました。「すごい! ちょっと会話しただけで僕の本質を見抜いてしまうとは。さすが80年も人生を生きてきただけのことはあるな」と思いました。

 爺さんが「バスに乗って帰る」と言うので、面倒見のいいミズちゃんと僕は、バス乗り場まで送って行った。爺さんがバスに乗ったのを確認する。そしてすぐ、さっきまで飲んでいた路上に荷物を置いたままであることに気付いた。あわてて戻ると、それはそこにあった。盗まれてなくてよかったです。盗まれていたら、この日記を書くことができなかったかもしれません。この日記が書かれたところで、何も意味はないかもしれないけれど。

 ミズちゃんと公園で飲んだあとは、まっすぐ大宮の家に帰りました。バスツアー中はイベントが目白押しだったから余韻に浸る時間があまりなかったけど、自室のベッドに腰を下すと、一気にバスツアーの思い出が脳裡に展開し、色んな思いで胸がいっぱいになり、涙が溢れ出てきました。「もし今お母さんが僕の部屋を開けたら、どんな言い訳をしたらいいのかな…」と思いました。

 翌日、梨華ちゃんのブログにコメントを書きました。
 「りっちゃん!*1バスツアーお疲れさまでした。二日間、梨華ちゃんと一緒に笑顔で過ごせて、とっても幸せでした。ありがと!
 実は、バスツアーの前日も、1日目の夜も、不安と緊張と胸のドキドキにより、ほとんど一睡もできませんでした。アイスを作りながら昏睡してしまったらどうしよう、などと不安だったけど、梨華ちゃんの存在を近くに感じることで謎の生命力が湧き上がってきたので大丈夫でした。
 グループトークでは、梨華ちゃんに突然『マックでは何食べるの?』と聞かれ、気が動転し、『チーズバーガーです!』と何のひねりもない返答をして困らせてしまい、すみませんでした。友だちみたいな雰囲気でお話できて、すごく嬉しかったです」

 家に帰って、梨華ちゃんのブログへのコメント投稿もしたが、僕のバスツアーは終わらなかった。はてなダイアリーでバスツアー日記を書き終えるまでが、僕の八ヶ岳バスツアーだからである。

*1:梨華ちゃんは一時期、自分のことをこう呼んでいたため、僕もそう呼んでいた。