なった。寝すぎて。泥のように眠るとはまさにこんな感じか。
17時から6時までずっとドブ掃除やら床みがきやらの、ある意味高貴だけど確実に底辺の労働をやって、帰宅。
入浴中、湯船の中で眠りに落ちて、死の断崖絶壁に立つ。死神的な姿をした真っ黒い人が現れて「死んじゃいなよ、まさに眠るように死ねるよ」っていう甘美な言葉をささやいてくる。でも、梨華ちゃん(と保田さん)のディナーショー当ったし、ここで死ぬわけにはいかないと思って、なんとか踏みとどまる。
やっとのことで風呂から出ると、今度は性欲の神様が現れた。下半身ハダカ、上半身にはユニクロの最新最安値Tシャツを着ていて、でれでれというかアヘアへというか、なんとも締まらない顔をしていた。そいつが僕の素朴純潔なちんこをつまみあげ、「やっちゃいなよ。梨華ちゃんでやっちゃいなよ。気持ちいいよ。アヘアへしちゃおうよ」って言うのだ。
僕は死神に対してはNOを突きつけたが、性欲神にはNOを突きつける理由が見つからなかったので、ためらうことなしにやった。PCを立ち上げ、ハロプロデジタルブックスで入手した梨華ちゃんの画像を眺めた。拡大したり縮小したりした。僕のちんこは縮小なんてせずに、際限ないんじゃないかってくらい、拡大を続けた。「僕はディナーショウにおいて、梨華ちゃんを食したいっ!」とかいうベタ極まる絶叫を心の中に感じながら性的な快感を感じてああ僕はまたしてもリカニーをしてしまったのである。
この時点で僕の脳みそはかなりやわらかくなっていた。プリン状だ。そこで僕は猛烈にプリンが食べたくなり、台所からスプーンを持ってきて頭の中のプリンを食べようかなと考えたんだけれど、なにしろ脳みそがプリンなわけのものだから、身体がもはや言うことを聞かなくて、ぜんぜん、だからそのまま泥のように眠った。梨華ちゃんの写真集をぎゅぎゅっと抱きしめながら。ぎゅっ。
9時ごろから0時まで、15時間ぶっつづけで眠る。ありとあらゆる種類の夢を見た。梨華ちゃんはありとあらゆる種類の髪型をしていた。ありとあらゆる梨華ちゃんはどれも可愛かった。だけど僕はその夢の90%は忘れている。そして明日には100%忘れている。
0時に起きて、カレーとスパゲッティを食べて、煙草を吸って、『海辺のカフカ』を再読していたら、また眠くなって、寝る。YOU寝ちゃいなよ。起きていたって、特に楽しいことなんてないだろう? リカニーくらいしかすることはないだろう? そして今は性欲の神もおりてきていないだろう? YOU寝ちゃいなよ。OK、僕は寝ることにするよ。梨華ちゃんとたわむれながらね。
1時、就寝。6時に目を覚ます。能みそがダルダルになっている。脳と書くべきところを能としてしまうくらいに。頭の中のプリンはぐずぐずに溶けてしまっている。僕は不思議に心地よい泥の中で梨華ちゃんの写真集を抱きしめる。梨華ちゃんのことを大好きだっていう気持ちだけが僕の心を埋め尽くす。不確かで不明瞭な未来のことなんてどうでもいいと思う。ただ僕は今、過去でも未来でもない今現在プレゼントにおいて、梨華ちゃんを全力で100%愛するんだ。愛してる。好きだ! 好きだ! 大好きだ! そう叫んだとき、脳みそはダルダルだったけれど、僕はこの上なく幸せだった。not so bad。悪くない人生だ。梨華ちゃんのディナーショーにも当ったわけだし。