梨華ちゃんの写真が満載のミニアルバムをそこらへんにほっぽり出しておいたら、
お兄様に見られた。
「うわ! なんじゃこりゃ!」
あ! やべえ! なんでそこらへんにほっぽり出して置いたんだ俺!
でも、後の祭り。見られちゃった。
「うわあ〜きも〜。お前キモ〜」
やっぱりキモイのか……。そうだよな……。
「もう30になるのに、こんな写真集めてるなんて、恥ずかしいなお前」
まだ24だよ! というツッコミを期待してるらしいお兄様がムカついたので、
ツッコまなかった。
とりあえず、
「関係ねーよ、ほっとけよ」
ってちょっとパンクっぽくカッコ付けて言った。
「てっきり広島旅行の写真が入ってるかと思ったよ」
ってヘラヘラ笑いながらお兄様が言った。
「おい、煙草もらってくぜ。じゃーな」
いいよ、とも言ってないのに、お兄様は勝手に煙草を3、4本抜き取って、
相変わらずヘラヘラ笑いながら去って行った。
ねえ、梨華ちゃんは、こんなキモイ僕と、腐れ外道のお兄様だったら、
どっちに惚れる?
君は、きっとお兄様に惚れるよ。間違いない。
キモイくらいだったら、腐れ外道のほうがいいものね。
僕だってそう思うもの。
ごめんね、梨華ちゃん。キモくてごめんなさい。
こんなにキモイのに君を好きでいていいのかな。