ふっち君の日記。

石川梨華ちゃんにガチ恋しているおじさんの記録

ロッキーちゃん大脱走


 飼い犬(ロッキーちゃん)に手を噛まれました。大げさじゃなく、おびただしい血液が流れ出たのです。


 所用で玄関のドアを開け放していたら、その隙をついてロッキーちゃんが飛び出してしまったのです。大脱走です。お母様は、
「ちょっとふっち! ロッキーが逃げた! 追いかけて!」
 と大慌てで叫びました。僕はロッキーちゃんを捕縛するため、サンダルつっかけて家を飛び出しました。はるか前方にロッキーちゃんの姿が見えました。電柱におしっこをひっかけていました。僕は「ロッキー!」と叫ぶのも恥ずかしく思われ、無言で小走りに追いかけました。ロッキーちゃんは道路をフラフラと横切ったりしていました。あまり車は通らない道路ですが、それでもたまに通るので、とても見ていられません。ひかれませんように、ひかれませんようにと心臓をばくばくさせながらロッキーちゃんのもとへ走りました。
 やっとのことで追いついた僕は、ロッキーちゃんに手をのばしました。しかしロッキーちゃんは僕のことを丸っきりシカトしてとっとこ走ります。僕は「ロッキーまてまて、立ち止まれ」と小声で呼びかけながら、後を追いかけました。ちっとも待ってくれないので、僕はロッキーちゃんの尻尾をつかみました。そうしたらロッキーちゃんは「ウワングルル」みたいな怖い声を出して、僕の右手に飛びかかって来、親指を食いちぎらんほどにバイトしました。「ひぃ!」という声を僕は出しそうになりましたが、すぐ近くを素敵な女性が歩いていたので、顔だけ歪ませて心の中で「いたあああああああい!」と叫びました。それでも僕はなんとかロッキーちゃんを押さえつけ、だっこして、とても惨めで痛かったけど、ほっとした気持ちで家に連れ帰りました。ふと右手を見ると、親指からおびただしいほどの血が流れ出ていました。親指から手首にかけて、真っ赤に染まっていました。水で洗って、消毒して、親指にバンソウコウをつけました。バンソウコウの匂いはなんだか懐かしくて、小学生のころを思い出しました。僕はバンソウコウをつけた手で、ロッキーちゃんの頭を撫でました。
 ロッキーちゃんは、バンソウコウをくんくん嗅いで、ぺロって舐めました。生きてるから、噛むんだよね。車にひかれてたら、噛まれることすらできない。僕は噛まれてよかった。ああ、愛するロッキーちゃん、どうか、幸せに、これからもずっと、長生きしますように。