選挙


 夕方、惰眠をむさぼりんぐしていたら、乳親じゃなくて父親が僕に怒鳴りつけた。
「おいお前、惰眠をむさぼっていないで投票に行け。国民の義務だぞ。そして絶対に自民党なんかには入れるな。国民の義務だぞ」
 僕はとりあえず風呂に入り、うんこをして、ついでにリカニーも済ませて、スッキリした気分で、投票所である地元の中学校に向かった。


 久しぶりに校舎に入った。下駄箱がずいぶん小さくなったなあと思ったけど、よく考えたら僕が大きくなっているだけだった。ナツカシスという言葉が喉もとまでせり上がってきた。口に出して言うのはちょっとアレなので、心の中でナツカシスと言った。


 下駄箱を過ぎてすぐの教室に入ると、聞き覚えのある曲が流れていた。LOVEマシーンだった。日本の未来は世界がうらやむ。投票所ではモーニング娘を流さなければならない。という法律でも出来たのだろうか。なかなか洒落た法律を作るもんだ。けれどここはLOVEマシーンよりはザ☆ピ〜スを流すべきだろうと思った。


 投票を終えて教室を出るとき、「へーい、君たち、ライフをエンジョイしてるかい」っていうような、DJの喋り声が聴こえたので、CDじゃなくてラジオだということがわかった。それにしたって、なんで投票所でラジオ流してんの? わけわかんないんだけど。まあ別にいいんだけど。


 票は、小選挙区も比例も自民党に入れた。父親の、自民党に入れるなという命令には逆らった。でもきっとあの命令はネタフリだったのだろうから、本当の意味で父親の期待に応えられたと思う。