キャッチセールス


 せっかく駅まで出てきたし、本屋に行って行政法の参考書を買った。その後、駅前でキャッチセールスにつかまった。話しかけられたのが嬉しかったのでつい立ち止まった。高額な絵画を買わされそうになった。必死だったし、かわいそうになったので買ってあげなきゃという気持ちになった。でもよく考えたら100万とか、そんな金はなかった。ごめんなさい、ごめんなさいと言って、僕はぺこぺこ頭を下げた。なんで僕が謝っているのかと不思議に思った。「学生さんですか」と訊かれたときには、いつものクセで「はい、そうです、学生です」と答えてしまった。もう、僕は学生なんかじゃないのに。