おし

　兄貴に働けと言われたので働いた。ごはんをよそったり皿洗いをしたりした。「いらっしゃいませ」とか、そういうのを兄貴や兄嫁の前ではりきって言うのは恥ずかしかったので言わなかった。かたくなに。僕は唖だというキャラ設定でいいだろう。言葉を発することができない人が働いているんだ、健気に。

　ひととおりの仕事をすませたあと、兄貴がやさしく語りかけてくれたのが、なんだか嬉しかった。