鮭ランチ


 10時に寝て、14時に起きる。17時からはまたバイト。母親が鮭ランチを僕に提供する。鮭なんかより酒が飲みたかったけど、しかたなく食べる。僕は最近ひどく不機嫌で、そんな感じを家族のものにも示していて、自分でも嫌なんだけれど、しかしながら聖人君子のごとく笑顔で明るくふるまうなんてことはできなくて、無表情で、あるいは睨み付けるような感じでもって、鮭ランチを受けとり、下等動物みたいにがつがつと食べた。骨が邪魔くさくてしょうがなかった。なんで、骨なんかあるんだろう。鮭よ、おまえは人間に食べられるために生きているんだろう。だったら骨なんか無くなってしまえよ。邪魔なだけなんだ。


 鮭ランチを食ったあと、寝る。それから紫陽花愛アイ物語の目覚まし音に起こされて起きて、家を出てバイトに向かう。どんなに辛くても、微笑をたたえながら正義をなせって太宰治は言うけれど、僕はそれを理想に思いながらも、そんなことはできなくて、目を陰険に細めて、口を歪めながら歩いた。すれ違うひとたちに、なんどもなんども問いかけた。あなたは何を楽しみに生きていますか。あなたは高度資本主義社会の中でどのような位置に立っていますか。あなたは有能な人間ですか。なにかしらの価値のある人間ですか。あるとしたらそれはいったいどんな種類の価値ですか。