さようなら、梨華ちゃん。


 僕が梨華ちゃんにぞっこん惚れてから2年と3ヵ月たつんだけど。僕と梨華ちゃんの関係は、いまだに何の進展も見せていない。友達にもなってないし、彼氏彼女の事情にもなってないし、結婚の約束もしてない。
 2年3ヵ月前、僕は梨華ちゃんでオナニーしてたんだけど、今も梨華ちゃんでオナニーしてる。何も変わってない。そしてこれからも多分変わらない。僕は正直なところ、だいぶむなしくなってきたよ。さらに5年くらい時が過ぎても、変わらないんじゃないの。リカニーしてるだけのような気がするよ。5年後も。10年後も。20年後も。


 なんかもうだるい。死ぬほどだるい。やめたい。やめる。そうだ、やめよう。


 僕は梨華ちゃんから遠ざかることにします。CDも買わないし、コンサートにも行きません。ハロモニも見ません。ポスターも4枚全てはがします。写真集も捨てます。リカニーも二度としません。梨華ちゃんの姿も見ず、声も聞かず、性の対象にもしない生活を送っていれば、恋心もだんだんにさめていくと思います。さますべきなんです。僕はいつまでも同じところをぐるぐる回っているわけにはいかないんです。うわついた夢ばかり見ているわけにはいかないんです。現実の世界に生きなければならないんです。卒業しなければいけないし、就職しなければいけないし、親孝行だってしないといけないんです。孫の顔を見せてあげなければいけないんです。僕は梨華ちゃんではない誰かと結婚して、それなりに幸せな家庭を築きます。本当は梨華ちゃんと結婚して子供をつくって幸せになりたいんだけど・・・。でも、無理なことを追い求めてもしょうがないので、僕は梨華ちゃんを好きでいることをやめて、それなりの幸せを目指して歩いていくことにします。


 梨華ちゃん、今までありがとう。幸せでした。僕はこんなに人を好きになったことはありませんでした。そしてこんなに長いあいだ同じ人を想い続けたことはありませんでした。これほど激しい恋心は、もう二度と誰にも抱くことはないと思います。どうか、幸せになってください。いつか、僕が誰かと結婚して、それなりに幸せに生きているときに、街で梨華ちゃんを見かけたら、声をかけていいですか。
「石川さん、僕は昔、石川さんの大ファンだったんですよ。恥ずかしながら、あなたに恋をしていました。まあ、若気のいたりというやつです。ご結婚されたんですよね。それを知ったときはやっぱり少しショックでしたよ(笑)。そうそう、最近お子さんが生まれたそうで。おめでとうございます。では、さようなら、お幸せに」


 なんて、言ってみたりして。超楽しい。楽しくない。やっぱりだめ。梨華ちゃんを忘れるなんてできない。リカニーをやめるなんてむりだよ!