絶望の朝( ^▽^)<カモンナ!


 ついに来ちゃった、27日。卒業式の日。でもそれは僕の両親がそう思い込んでるだけで、本当は2日前に終わった。そして僕はそもそも卒業できない。だけど「明日は卒業式でしょ? 卒業おめでとう」とお母様に言われた。話がじつに複雑になっている。自分でもよく理解できない。なんでこんなことになったんだ?
 25日は携帯の電源切って一日中ぼんやりしていた。目の中に入ってるゴミが視界でピンピン動くのを眺めたり、梨華ちゃんのことを考えてにやついたり、涙を流したりしていた。
 26日は留年の言い訳と、卒業式の日を偽ったことの言い訳をずっと考えていた。でもココロオドルような言い訳は思いつかなかった。「つい出来心で。卒業式はいつでもよかった。今は反省している」くらいしか思いつかなかった。


 僕はこれから卒業式に行くのかもしれない。そういえば去年も同じことをした。卒業式当日まで留年のことを言わずに、「卒業式行ってくる」と言って家を出た。でも去年は卒業式の日を偽ることはしなかった。
 どうしよう。僕はどんどんダメな人間になってきているよ。反省というものを知らないんだよ。同じ失敗を何度もくりかえすんだ。いや同じじゃない。その失敗はどんどんひどいものになっていく。一回目のデートに1時間遅刻して、二回目のデートに2時間遅刻するみたいな感じだよ。絶対ふられる。見捨てられる。いやだ、見捨てないくれ梨華ちゃん! 次は絶対遅刻しないから! とか言って、今度は3時間遅刻する。そして完全にふられ、着信拒否。


 とりあえず心を落ち着かせようと思って梨華ちゃんの写真集を開く。だめだ、落ち着かない、可愛すぎる、キスがしたいし抱きしめたい。梨華ちゃん。朝が来たんだ。希望の朝じゃない、これは絶望の朝だ。いやな色の朝日が部屋に差し込んできたよ。日の光が腹立たしいから、梨華ちゃんの写真にキスをするよ。うまい具合にだね、光がさえぎられるんだ。目の前には暗闇に包まれた梨華ちゃんがいるよ。梨華ちゃんとキスをしていると少し安心できるよ。ずっとこうしていたいな。もういい、どうにでもなれ。日は勝手に昇れ。そして勝手に沈め。地球の回転なんか完全に無視してやる。僕は暗闇の中で梨華ちゃんと唇をくっつけたまま、ずっと夢的な世界にいるからな。飯も食わないし水も飲まないんだ。光を見るのがいやだし、梨華ちゃんと離れるのが嫌なんだ。現実が全部いやなんだ。僕は逃げる。逃げてやる、果てしなくどこまでも逃避してやる。酒をください。煙草をください。卒業証書をください。梨華ちゃんをください。神様。ごめんなさい。