幸せだなあ


 ネガティブになってもしょうがないので、ポジティブに考えることにする。僕が行かない分、梨華ちゃんの握手の負担が減って、よかった。喜ばしい。僕はライブ中ずっと棒立ちで野鳥の会だから、場を白けさせる要因が減って、よかった。素敵なことだ。僕自身についても、梨華ちゃんと触れ合うという恐怖から逃れられてよかった。実に良かった。握手したあと、どうせまた妙な感情が巻き起こって枕をぐしょぐしょにするんだろうし、そんな悪夢からも解放されるんだ、よかった。こんなに嬉しいことはない。幸せだなあ。僕はやっぱり、梨華ちゃんのことは遠くから思慕しているのが一番いいんだ。それが幸せなんだ。なんだろうな、この満ち足りた感覚! もうね、僕は幸福に満たされすぎて、言うことないよ。望むもの欲しいもの何一つないのさ。だからここで、終わりにするのさ。幸せの絶頂なんだ今。僕は。さようなら。梨華ちゃんもどうか、幸せになってね。さようなら。