2016/1/23(土)夜 石川梨華バースデーイベント31

 事前に、梨華ちゃんバースデーイベントの運営から、「梨華ちゃんへの愛のこもったお手紙を書け」という課題が出されました。
 「今日にも結婚報告があるかもしれない、という極限状況の日々を過ごしている僕に対して、そんな重い課題を出してくる運営は鬼だ!」と思った。
 さらに、「今の時点で梨華ちゃんバースデーイベントに参戦する、という事実だけで、めちゃくちゃ梨華ちゃんを愛してることは誰にでも伝わるはずだ。みんな、それこそ言葉にできないくらい愛しているだろう。それなのに運営は、梨華ちゃんへの愛のこもったお手紙を書けと言う。鬼だ!」と僕は、心の中で運営をののしりましたが、運営を憎む気持ちよりも、梨華ちゃんを好きな気持ちの方が大きかったため、愛のお手紙を執筆することを決意しました。

 しかし、梨華ちゃんへの重すぎる愛に向き合う勇気は、なかなか出てこなかった。でも僕は、えいや!と勇気をふりしぼり、梨華ちゃんへの愛に正面から向き合いながら、愛のこもった、しかしこもりすぎてはいないお手紙を書いていきました。でもそのお手紙は残念ながら(ほっとしたことに)、イベント中、梨華ちゃんに読まれることはなかった。


ニックネーム:ふちりん
 僕が本格的に梨華ちゃんヲタになってから、13年くらい経ちます。まさか13年経っても、彼女すら作らず、梨華ちゃんに夢中になっているとは、夢にも思いませんでした。梨華ちゃんは、「『ザ☆ピ〜ス!』のころの私が一番かわいかった」みたいな事をよく言うけど、もっと自信を持って下さい。梨華ちゃんは今が一番かわいいです。僕は、過去のどんな梨華ちゃんよりも、今の梨華ちゃんが好きです。いつも、ときめきをくれてありがとう。31才のお誕生日、おめでとうございます。

 僕はバースデー会場*1のグッズ売り場で、迷うことなく全部セットを買いました。「なぜ全部セットを買ったのか。やけくそになっているのか?」と思う人もいるかもしれないけど、やけくそになっているわけではありません(たぶん)。お金を出して手に入れたいと思うものが、もはや梨華ちゃんグッズくらいしかないのです。車も家も服も嫁も、ゲームも高級料理も腕時計も、なんにも欲しくない。最近は、ウイイレの最新作を買っても、ほとんどやらなかったりします。うつ病なのかもしれません。

 バースデーイベントが始まるとすぐ、小粋な演出がありました。梨華ちゃんが厨房に入り、カウンター越しに、一人一人のヲタに対し、順番にドリンクを手渡してくれたのです。僕はメイドカフェでそういうのに慣れているためか、驚くほどスムーズに梨華ちゃんに「えーと、お茶ください」と頼み*2、お茶を受け取り、「ありがとう!」とお礼を言うことができた。イベントが終わって帰宅した後、その透明なカップには、梨華ちゃんの指紋が付着していることに気づきました。「いつか鑑識の友達ができたら、指紋を採取してもらおうっと!」と思った。また、このカップには「りかうさ」のシールが貼ってあるけれど、いかにも使い捨てのものなので、「部屋に置いておいたらお母さんに捨てられそうだな…」という不安が湧いてきました。

 そのあと、ヲタのみんなの「愛のこもったお手紙」が梨華ちゃんによって読み上げられて感動的な雰囲気になったり、梨華ちゃんとヲタが一緒に「黒ひげ危機一髪」で遊んで和やかな空気が流れたりした。その心地よい空間で梨華ちゃんを見つめているうちに、僕の心の中に満ちていたガチ恋の闇が、しだいに褪せて行くように感じた。ふと気が付くと、心の中は春の陽のような柔らかい光で満たされている。僕は晴れ渡った青空の下、広々とした緑の草原にゆったり座り、少し遠くで誰かと楽しそうに笑っている梨華ちゃんを眺めている。

 「愛のこもったお手紙」を読むコーナーの時、梨華ちゃんは「ネットで『劣化した』とか書かれてるのを見ると、悲しい」と言っていた。僕は、「そんな安易な言葉で梨華ちゃんが悲しくなってしまうなんて」と、すごく悔しい気持ちになった。もっと文学や哲学などを勉強して、そんな言葉にびくともしないような、深く豊かな温かい言葉で、梨華ちゃんを肯定していきたい。そう思いました。

 イベントの最後には、『初めてのハッピーバースディ!』が歌われた。途中でいつも通り、「りーかちゃん、ヲイ!」というPPPHが入った。その「りーかちゃん、ヲイ!」には、あまりにも魂がこもっていたため、鳥肌が立ちました。こういう切実な現場も見に来ず、ヲタの気持ちもさして想像せず、「彼氏がいた方がファンも燃える*3」とか軽々しく言ってほしくないな、と思いました。その「りーかちゃん、ヲイ!」からは、“燃える”どころか燃え尽きてしまうのではないか、と心配になるほどの魂の情熱を感じました。

 いつもは緊張で忘れてしまうんだけど、握手会の順番を待っている時、精神的な余裕が少しあったので、6mくらいの距離から梨華ちゃんに向けてホイミを念じました。梨華ちゃんは病み上がりだったらしく、良いタイミングのホイミだったと思います。握手会の列が少しずつ進み、僕の番が来ると、梨華ちゃん肖像画の入った手紙を係の者(女性)に手渡しました。そして僕は、梨華ちゃんを見つめて歩み寄る。「梨華ちゃん♪」と優しく呼びかけながらその両手をふわっと握る。「お誕生日おめでとう♪」と告げる。梨華ちゃんは僕の目を穏やかに見る。「ありがとうございます!」と答えたような気がするが、定かではない。僕は手を離し、「またね♪」と微笑んで小さく手を振り、速やかに梨華ちゃんの前から去った。

 その日の深夜、地元にあるアフィリア大宮店(魔女っ子バー)に行って、「握手会のとき、梨華ちゃんに『お誕生日おめでとう』と言ったよ」と魔女っ子に話したところ、「それだけしか言わなかったの? もったいない! 結婚申し込めばよかったのに!」と言われました。バースデー会場の雰囲気は、求婚の入り込む余地が全くないほど、穏やかでアットホームなものだったので、求婚はしませんでした。

 まだステージ上で握手会を続けている梨華ちゃんをチラッと見て「またね!」と呟き、パシフィックヘブンを出た僕は、梨華ちゃんと握手した手のひらを見つめて、「今日は手を洗わないぞ!」と決意しました。帰りの電車の中でおしっこを我慢しながら、「どうやったら手を汚さずにおしっこができるだろうか?」と考えていました。そして時折り、ひどい頭痛に苦しんでいる人かのように、片手を広げて両こめかみを押さえ、手のひらに漂っている梨華ちゃんの甘い移り香をくんくんし、「うおー! 梨華ちゃん! 大好き!」と心の中で言って涙ぐんだ。

 大宮アイドール(アイドル居酒屋)で一人、打ち上げをしていると、おしっこで膀胱が破裂しそうになってきて、とうとうトイレに駆け込みました。が、僕は洋式便器に座ってトイレットペーパーを上手く使うことによって、手をまったく汚さずにおしっこを完遂しました。小指の先でレバーを押し上げて流した時にうっかり、上部から流れ落ちる水に手を差し入れそうになり、肝を冷やしました。
 メイドカフェハニーハニー大宮店、大宮アイドール、アフィリア大宮店をはしごして、べろんべろんの状態で自宅に帰りました。歯をみがくにあたり、右手はどうしても水で流さなければならなかったので、泣く泣く流した。しかしまだ左手は生き残っていた。お風呂には入らなかった。梨華ちゃんの移り香がかすかに残る左手を、梨華ちゃんだと思って抱きしめてベッドに横になった。

*1:パシフィックヘブンという、食堂みたいなところ。

*2:オレンジジュースかお茶かを選べた。

*3:あるテレビ番組でのあるアイドルの発言。