グループトークが終わった後、アイスクリーム作りをする部屋に戻りました。僕の目の前に座った人に、「梨華ちゃんとの距離が近すぎたから逆に困ってしまいました(笑)」と言ったら、「じゃあ俺と席を交換してくれればよかったのに」と怒られました。その人はグループトークの時、テーブルの一番奥、梨華ちゃんから最も遠い席に座っていたので、怒るのも無理はありません。無神経なことを言ってしまい、申し訳ありませんでした。
アイスクリームを作るための部屋は、理科の実験室みたいな雰囲気でした。前方にはホワイトボードがあり、アイスクリームの作り方と、謎のポエムが書いてありました。
アイスクリームの作り方は、おそらくこの牧場の人が書いたのだろう。ではこの謎のポエムは? 梨華ちゃんが書いたのかな? 可愛らしい字だし。でも「魔法使いアキット」と署名がしてある。魔法使いアキット? 一体誰なんだろう。梨華ちゃんが以前ドラマか舞台で演じていた役名とかだろうか。しかし、そんな役を演じたことあったっけ?
それで今、グーグル先生に尋ねてみたところ、魔法使いアキットさん*1は、マジックを生業とする長野県の有名人らしいです。知らなかった。
梨華ちゃんがヲタたち(100人弱)とのグループトークを終えるまでの間、同じテーブルの人たちと歓談しました。僕はほとんど喋らなかったと記憶していますが、僕の名札を見た人(さっき怒らせてしまった人)が、なぜホイミスライムが描いてあるのかと尋ねました。
「ホイミが好きなんです」
「どうせなら、もっと強い魔法がいいんじゃないの? ベホマとかメラゾーマとかさ」
「ホイミの、ささやかに回復する感じがいいんですよ」
そう答えたけど、あまり理解されませんでした。
グループトークの時、梨華ちゃんは僕の名札をちらっと見たと思うけど、ホイミスライムについては触れなかったし、「ふちりん」という名前も呼びませんでした。ただ「マックでは何食べるの?」と訊いてきただけでした。梨華ちゃんはホイミスライムのことを知らなかったのかもしれない。名前は、「ふちりん」ではなく「ふりちん」だと思ったのかもしれない。