ハロモニ


 「梨華ちゃん! 梨華ちゃん!」と狂ったように叫びながら(僕は基本的に狂っている。1日24時間のうち、じつに16時間は狂っている)、ベッドの上で飛び跳ねるのが僕の趣味です。いや趣味じゃない。こんなのは趣味とは呼ばない。じゃあなんて言うの? 日本語が不自由なんだ。僕は。
 日記をここまで書くのにも、76回くらい辞書を引いた。そして辞書を引いてもよくわからなかったりする。引けば引くほど混乱したりする。同じような意味の単語がたくさんあって、そのどれを使用したらいいかわからなくなる。どれを選んでも適してないような気がしてくる。そして僕は自分の言語感覚のなさに絶望して何もかもが嫌になる。携帯電話を逆に折り曲げたくなる。
 それから、16+8が真剣にわからなくなった。24なのか? 8+8はわかる。16。16+8になると何がなんだかわかんなくなる。24? 本当に? 16+4は多分20だと思うんだけど、20だということに全然自信がもてない。計算の仕組みがどんなに考えてもわからなくて、頭に妙な煙のようなものが立ち込めてくる。そして手近にある文庫本のページを一枚一枚むしりとっていきたくなる。


 脳みそがイカれてしまったんだろうか。 梨華ちゃん! 梨華ちゃん! と狂ったように叫びながらベッドの上で飛び跳ねることを趣味にしているからこんな計算も出来なくなってしまって、辞書を引いても意味がわからなくなってしまって、本屋で立ちくらみをして世界からすべり落ちそうになってしまうんだろうか。
 馬鹿、そんなことはどうでもいいじゃないか。ハロモニの話だ。「今日は梨華ちゃんに会える日だ♪ ルンルン♪」と一人言を呟きながら(僕は一人言を言うのがとても好きだ)11時20分まで過ごし、11時半ちょっと前にテレビの前で正座をしてハロモニが始まるのを待った。お茶もおせんべいも用意した。何もかもが完璧だった。これから訪れるだろう梨華ちゃんと過ごす幸せな時間を想ったら、胸がときめいた。そして駅伝が始まった。きっと梨華ちゃんが走るんだろうと思った。モーニング娘が駅伝をするんだろうと。でも梨華ちゃんは走らなかった。見知らぬ女性が必死の形相で走っていた。
 うひょう! 梨華ちゃん! カッチョエエジャパンまじ最高。梨華ちゃん! サックス! ちなみに、この日記書くのに3時間30分かかりました、梨華ちゃん! 見ろ、時間がゴミのようだ・・・。